KINTOテクノロジーズ全体会の企画でNFTスタンプラリーを導入したら・・?
この記事は KINTOテクノロジーズアドベントカレンダー2024 の19日目の記事です🎅🎄
1. Tech Blog デビュー
こんにちは!
生成AI活用PJTのShiori(@shor_t8q)です。現在、生成AIの研修・ユースケース開発・技術支援を担当しています!(が、デビュー作はWeb3の内容となりました)
このブログは2024/11/28に開催されたKINTOテクノロジーズ超本部会(=会社の全体会)の懇親会のNFT活用企画についての記事です。会社総会の企画やNFTの取り組みについて関心のある方、KINTOテクノロジーズの会社文化を知りたい方に最適な内容となっています。
前提
このブログで紹介するNFT企画は、超本部会の実行委員、懇親会、ノベルティ、クリエイティブ室メンバーの全員のご協力と尽力により実現できた内容です。
また、この記事で取り扱うNFTサービスの提供企業のスポンサー記事ではありません。あくまで懇親会&ノベルティ担当の体験、工夫、学び、教訓を共有することを目的としています。
2. 超本部会について
2-1. そもそも超本部会とは?
超本部会とは、KINTOテクノロジーズが年に1・2回程度開催している会社の全体会です。このブログで取り上げる超本部会は、2024/11/28に開催され、2024/11/28の開催規模はオフラインで300名程度、オンラインで50名程度です。時間は、15時〜21時まで開催され、コンテンツ盛りだくさんの大盛り上がりの会となり、幕を閉じました。
2-2. 懇親会とノベルティ担当になる
超本部会の1.5ヶ月前に、各部のグループからメンバーが集い、実行委員会が結成され、私は懇親会とノベルティを担当しました。
社内のコミュニケーション促進を目的に、デスク用のネームプレートをノベルティとしました。ノベルティはクリエイティブ室のJさんがデザインしました。
2-3. 超本部会のコンセプト
コンセプトは、「KTCはキミで、できている」です。このコンセプトは、経営陣 / 部長 / マネージャーの方からの、お気持ち、チームワーク、未来へのビジョンに関する意見をまとめて作成されました。
3. 超本部会の懇親会
3-1. 懇親会とは?
懇親会は超本部会の一番最後の企画で19:00~21:00の超本部会の最後に開催されました。
超本部会のコンセプトを基に懇親会チームは懇親会ゴールを以下2つに定義しました。
- 参加者同士、他部署のメンバーとのコミュニケーションを促進する。
- 参加してよかったと思えるような体験を提供する。
3-2. 懇親会でNFTを活用することになったきっかけは?
懇親会ではNFTスタンプラリーを実施しましたが、なぜ懇親会でNFTスタンプラリーを取り入れることにしたのでしょうか?私はもともとノベルティ担当だったですが、発想の起点は「まだやったことがなうことを試す」を前提とした時に「ノベルティがNFTだったら面白いのではないか?」、「今後のNFT・Web3プロジェクトのインスピレーションとなるのではないか?」と考えたところにあります。
そこで、本部会のコンセプトに沿ったNFT活用方法を模索し、Web調査をしたところ「NFTスタンプラリー」という概念があることがわかりました。その後実行委員メンバーから、前回の本部会の懇親会の企画で「デジタルスタンプラリー」という企画を実施したことを共有してもらい、「デジタルスタンプラリー」を「NFTスタンプラリー」にアップデートすることにしました。ここで懇親会メンバーと合流して、NFTスタンプラリー活用の検討に入りました。
4. NFTとは?
4-1. NFTは唯一無二のデジタル資産
NFTとは「Non-Fungible Token」の略で、日本語では「非代替性トークン」と訳されます。これは、他のトークンと交換が不可能な、唯一無二のデジタル資産を指し、独自性と希少性の特徴を持っています。また、NFTはブロックチェーン技術により、取引の透明性が確保されます。例えば、ビットコインは1ビットコインが他の1ビットコインと同じ価値を持つ代替可能なトークンですが、NFTはそれぞれが異なる価値を持つため、代替することができません。
このような「非代替性トークン」特性から、NFTは、アート・ゲーム・音楽・映画・スポーツ・エンターテインメント、企業のマーケティング活動において新しいファンエンゲージメント向上施策ツールとして活用されており、その他の業界においてもNFTの応用が進んでいます。NFTはクリエイターの収益化の手段や企業の新たなマーケティング集団を提供し、取引の透明性とトレーサビリティを向上させる一方で、マイニング(採掘)に伴う多くの消費電力による環境への影響や法的リスク、市場のボラティリティによる価値としての不安定さなどの課題があります。
5.NFTスタンプラリー
5-1. 懇親会でのNFTスタンプラリーの実現可能性は?
調査実施
そもそも会社の懇親会でNFTを配布したり、交換したりすることは実現可能なのか、検証することにしました。
ウェブ調査の結果、Sushi Top Marketingという企業がNFTで多くの活用事例があり、NFTスタンプラリーの実績を持っており、トークングラフマーケティングという新しいNFTの概念を提案しているということがわかりました。
トークングラフマーケティングとは?
トークングラフマーケティングは、ブロックチェーン技術を活用し、ユーザーのプライバシーを保護して顧客にアプローチ可能な新しいマーケティング手法です。ユーザーが所有するNFTやその他のトークン情報を基に、その人の趣味嗜好や行動履歴を分析できます。
初期のアイディア
そこで、以下のような初期アイディアをベースにご担当者の方と数回のディスカッションを行いました。
内容 | 説明 |
---|---|
ノベルティコンセプト | 普段会わない人とのコミュニケーションを活性化、 コミュニケーションの誘発とイノベーションの促進、団結意識、老若男女問わずもらって嬉しいなどです。 このコンセプトからはズレないようなソリューション。 |
アクセシビリティー | イベントで一日のみ利用可能なため、 操作説明なしでだれでもすぐに利用できるような手軽さが重要。 アプリとQRスキャンの両方に対応しているなど。 |
ノベルティとしての価値 | NFTを個人のウォレットに送金し、 資産として保存できるというような新しいノベルティの概念を伝えたい。 |
革新性 | 会社はクリエイティブとテクノロジーを重要な価値基準としており、 まだやったことのない技術的チャレンジに積極的。 |
ブランド | ブランドのキャラクターやカラーを反映したUIにカスタマイズできると嬉しい。 |
利用イメージ | 例えば、「部署ごとに違うスタンプを所有しており、Aさんが違う部署のBさんと話すと、 Bの部署のスタンプをもらうことができて6個のスタンプを集めることを目指す」などの企画は、コミュニケーションを促進できて面白いのではないか。 |
5-2. NFTスタンプラリーの基盤となるブロックチェーン技術
今回のNFTスタンプラリーでは、Astarを採用しました。Astarは、次世代のブロックチェーン技術として注目されており、スマートコントラクトとdApp(分散型アプリケーション)の開発に特化した技術です。Astarは、Polkadotエコシステムの一部であり、異なるブロックチェーン間の相互運用性を実現することができます。
5-3. NFTスタンプラリーの構想
アイディアブレスト
4つのNFTスタンプラリーアイディアをご提案いただきました。
内容 | 説明 |
---|---|
NFTカード交換 | 複数のNFTカードを交換し合ってお互いにNFTを取得。NFT配布後に、別のNFTを届けることも可能。 |
動的NFTスタンプラリー | 任意のNFTペアを集めると、特別なNFTに変化する仕組み。NFTの組み合わせで、ユニークなNFTを配布可能。 |
LINEでのNFT配布 | LINE公式から記念NFTを配布し、NFT配布後に、記念NFT保持者にギフトを送付。 |
NFT名刺&スタンプラリー | NFCまたはQRスキャンでNFTが発行できるカードを配布し、スタンプラリーを実施。ノベルティとしての価値を持ちつつ、参加者の収集意欲を刺激。 |
アイディアを踏まえ、以下の判断基準を基に懇親会メンバーでディスカッションを重ね、アイディアをブラッシュアップしました。
判断基準
内容 | 説明 |
---|---|
工数 | 約1ヶ月で準備が完了するか。 |
ユーザビリティ | マニュアルや説明が不要、もしくは最小限で、直感的に利用できるか。 |
運用可能性 | 300人が集まる懇親会のような自由な雰囲気の中でも運用が可能か。 |
簡便性 | 複雑な操作や手順を必要とせず、簡単に利用できるか。 |
アクセシビリティ | 外部サービス利用前提などの制限なく、誰でもアクセスできるか。 |
先進性 | NFTを活用した興味深い体験を提供できるか。 |
セキュリティ | データの保護やプライバシーを確保できるか。 |
スケーラビリティ | 多数のユーザーの同時アクセスに対応可能か。 |
互換性 | スマホデバイスやOS互換性があるか、既存のWeb3プラットフォームと統合可能か。 |
予算適合性 | 予算内に収まるか。 |
最終的に、初期アイディアを組み合わせ次のような企画になりました。
5-4. NFTスタンプラリーの企画内容
NFTスタンプラリーの概要
NFTは、各部署、経営陣、コンプリート用を含め全部で14種発行しました。
参加者が、ゾーン(経営陣や表彰メンバーなどが滞在するスポット)を巡り、懇親会中に自身の持つNFTとは異なるNFTを収集し、普段話す機会が少ない他部署メンバーや経営陣とコミュニケーションを取ることで、新しいプロジェクトのスタートや関係構築を促進します。
全てのNFTを収集すると、コンプリートNFTを取得でき、後日景品と交換できるゲーミフィケーション要素を取り入れました。
NFTのタッチポイント
名札(超本部会の参加者全員が入口で名札を受け取る)にNFCタグ(後ほど解説)とQRコードを入れ、NFCタップとQRのスキャンの両方からNFTを獲得できるようにします。NFCとQRの両方を準備した背景には、NFCタップが利用できない参加者が発生する事態を考慮するためです。
NFTスタンプラリーの流れ
- 参加者は各ゾーンへ行く
- メンバー(他部署や経営陣)と交流
- NFTに紐づくチャットに、どのような内容を話したのか投稿する(NFTに紐づくチャットに、部署のメンバーとどのような会話をしたのか共有することで、各部署のNFTのユニークな価値にする)
- 会話をしたメンバーとNFTを交換し、13個のNFTを収集する
- コンプリートNFTを獲得する
- コンプリートNFTに紐づくチャットに、Slackの名前を投稿する
- 後日運営がSlack経由でコンプリートNFTメンバーに景品をプレゼントする
NFTデザイン
NFTのデザインは、会社の全体会であることを考慮し、統一感や一体感を出すために、KINTOブランドキャラクターであるくもびぃを採用しました。
クリエイティブ室の桃井さんがNFTコレクションをデザインしました。
NFTの工夫
NFTにオリジナルな価値を付与します。
- 部署ごとに異なるデザイン
- NFT名はグローバルメンバーを考慮した日英併記
- NFTにユニークなコレクション名や開催日の日付属性を追加
- 各NFTごとに超本部会のテーマ「KTCはキミで、できている」キーワードを仕込み、全てのNFTを集めると懇親会テーマになる
6. NFTスタンプラリーを実現する上での課題
6-1. NFTをどのように交換するのか?チャネルは?採用技術は?
NFT x NFCタグを採用
今回の懇親会の要素として、「そんなこともできるんだ!」といったようなちょっとした驚きや発見も重要視していました。そこで、サービス提供企業の方からいただいたアイディアと実行委員メンバーのアイディアを融合し、NFCタグにNFTの情報を書き込み、名札に入れたNFCチップにスマホをかざすだけで、NFTを受け取れるようにしました。
*NFC(Near Field Communication)とは、対応する機器同士を近づけることで無線通信を行うことができる技術・規格です。NFCは、スマートフォンや交通系ICカード、クレジットカード、家電など、幅広い用途で使用されています。
NFCタグにNFT情報をどのように書き込むのか?
NFCタグ:www.amazon.co.jp/dp/B0DFW9WTRW
NFC書き込みアプリ:https://apps.apple.com/jp/app/nfc-tools/id1252962749
AmazonでNFCタグを調達し、13種約300人分のNFT URLをNECタグへ書き込みました。またNFCタグが機能しないことにも備えて300人分のNFT QRコードも準備しました。この工程はマンパワーです。(懇親会メンバーthytさん、岡さんが書き込みをしました。)
書き込んだNFCタグをネームホルダーに入れました。
6-2. NFTスタンプラリーのルールを参加者全員にどのように周知するのか?
NFTスタンプラリー開始前の司会の案内の時に「NFTスタンプラリー進め方ガイド」を投影し、司会と協力して、NFTスタンプラリーのルールを周知しました。
6-3. NFT交換はブラウザベースのウェブアプリ上で行うため、獲得したNFTを見失わないようにするには?
司会と連携し、以下の内容を投影資料内で案内しました。
- ブラウザで利用するウェブアプリであること
- シークレットモードでは利用しないこと
- NFTを最初に交換した後、「NFT一覧ページのショートカットをホーム画面に追加する
- NFT交換時に表示されるNFTのバックアップコードをスクショしておくこと
6-4. コンプリートNFTの発行方法は?
NFTをコンプリートしたら懇親会担当に獲得したNFT一覧画面を見せて、懇親会担当からコンプリートNFTを獲得できるようにしました。
7. 学びと教訓
7-1. 懇親会中に実行できるタスクはNFT交換のみ
懇親会中は、普段あまり話さないメンバーと沢山会ったため、ごはんを食べるのもやっとというような状況でした。そのため、当初想定していたNFTに紐づくチャットに、メンバーとの会話を共有することは難しく、「各部署のNFTに、部署メンバーの気付きやアイディアを蓄積し、各部署のNFTのユニークな価値にする」ということを実現するのは難しかったです。
また当初の企画では、ゾーン(経営陣や表彰メンバーなどが滞在するスポット)を巡ってNFTを交換することを想定していましたが、懇親会という自由なコミュニケーションを促進する場では、ゾーンを設置する必要ありませんでした。
7-2. 全種類のNFTを確認するオペレーションの工夫を
参加者からの意見として、任意のA部署メンバーのNFTを複数取得できるため、A部署のNFT1、A部署のNFT2、、、といったように同じデザインのNFTが一覧に表示され、「どの種類のNFTを獲得したのか、コンプリートまでにあとどのNFTを獲得する必要があるのか、確認するのが少し大変。」という声があり、この点は事前に考慮して対応策を検討していれば良かったポイントです。
7-3. NFTコンプリート後のタスクはシンプルに
「5-4. NFTスタンプラリーの企画内容」で企画想定した通りには上手く機能しませんでした。
この点は、「13種類のNFTを獲得→NFT一覧の画面をスクショしてSlackチャンネルで共有する」
といったSlackチャンネルでコンプリートを証明するオペレーションにした方が、懇親会担当は誰がコンプリートしたのかすぐに把握できるので、スムーズに機能したと思われます。
またSlackチャンネルなどのオープンなスペースでコンプリート報告をすることで、懇親会参加者が「同僚の〇〇さんがコンプリートした!」ということが人目でわかるので、NFTスタンプラリー参加促進の誘発要素にもなると考えられます。
7-4. NFTタッチポイントのチャネル選定は柔軟に
今回の懇親会では300人分のNFT URLをマンパワーでNFCへ書き込みました。しかし、人的ミスや工数を考慮すると、これ以上の大規模イベントでは別のタッチポイントやチャネルを検討した方が良いと考えられます。
7-5. 国際メンバー向けには英語でのフォローアップを
KINTOテクノロジーズは約25%が国際メンバーです。投影資料は日英併記で準備しましたが、懇親会で複数人の国際メンバーと会話した際に、口頭でNFTスタンプラリーの進め方フォローアップを行いました。スタンプラリー開始時に、Slackチャンネルで投影資料を共有したり、英語での補足説明をするとさらにスムーズだったのはないかと思います。
8. NFTスタンプラリーの結果
8-1. 10%がコンプリート!!!
約300人の参加中30人という、参加者約10%がNFTスタンプラリーをコンプリートしました。
8-2. 全体の結果は・・?
全体としては、1734個のNFTを配布し、一人あたりのNFT平均交換数6.6個、NFT交換数の中央値は6になりました。つまり、約2時間で1人当たり平均約6部署のメンバーと会話したことになります。
懇親会で他部署メンバーとの交流をゴールの一つとしていたため、NFTスタンプラリーは、ゴール達成の一助になったと考えられます。
項目 | 数 |
---|---|
NFTスタンプラリーコンプリート人数 | 30人 |
NFT発行総数 | 1734個 |
NFT平均交換数 | 6.6個 |
NFT交換数中央値 | 6個 |
9. NFT活用の展望
NFTスタンプラリーを活用することで、懇親会のような物理的なイベントにおける人の動きを可視化できることがわかりました。興味深いことに、今回のNFTスタンプラリーでは、どの部署がどのくらいのNFTを発行したかわかるので、他部署とのコミュニケーションに積極的な部署を把握することができました。
このNFTスタンプラリーを通して、KINTOテクノロジーズが手掛ける、KINTO製品、MaaS関連アプリ、会員向けサービスへのオンライン・オフラインでのNFT活用イメージが広がりました。具体的には、既存の年代や性別といった属性ではない、趣味嗜好ベースでのお客様へのアプローチが可能といったことや、お客様のコミュニケーションと行動の可視化という観点での活用が有効だと思いました。
10. 最後に
NFTスタンプラリーの試みを通じて、新たな技術とアイデアの融合がもたらす可能性を実感しました。懇親会という場で、異なる部署のメンバーが交流し、楽しみながらテクノロジーに触れる機会を実現できたのは貴重な経験でした。今後も、新たな技術を活用した取り組みを積極的に行い、興味深い発見や洞察を共有できるよう努めていきたいと思います。
皆さんもぜひ、AIやWeb3など新たな技術を取り入れた企画に挑戦してみてください。何か面白い発見があると思います!
最後までご覧いただきありがとうございました!
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