「Appium Meetup Tokyo」第1回イベント開催レポート

2025年2月20日に初開催された「Appium Meetup Tokyo」が、Autify社東京オフィスにて開催されました。当日は約10名が現地参加し、オンラインでも多くの参加者が集まりました。
オープニングとアイスブレイク
イベントはAutify社のtsueeemuraさんのユーモア溢れる軽快なトークでスタートしました。オンライン接続の確認も兼ねて、「今日の夕飯何にしますか?」という質問があり、「今日はお鍋です」という回答が場の雰囲気を和ませました。
Autify社「Appiumプラグインの活用事例」
最初の登壇はAutify社のモバイル製品開発担当reroreroさん。
Autify社が提供する「Autify NoCode Mobile」は、コードを書かずにモバイルアプリのテスト自動化が簡単に実現できるクラウドサービスです。プログラミングの専門知識がなくても直感的なインターフェースでテストを記録し、自動再実行が可能です。これにより、開発者や非エンジニアでも迅速にテスト環境を整備できる点が最大の利点です。さらに、クラウド上で実機やシミュレーターが利用でき、自社での機材調達が不要となり、設備投資を大幅に削減できることも特徴の一つです。
ただし、大量のUI要素が存在する画面では動作が著しく遅くなる課題があり、通常数秒で完了するはずのタップ操作が最大40秒もかかる問題がありました。
reroreroさんはこの問題を解決するため、Facebookが開発した「IDB(iOS Development Bridge)」を導入しました。IDBはCLIベースで高速にiOSのシミュレーターや実機を操作するオープンソースツールで、Core Simulator Serviceに直接イベントを送ることで反応速度を劇的に改善します。Appiumのプラグインとして統合し、サーバー間の複雑なネットワーク設定なしで直接利用可能な仕組みを構築した結果として、40秒の操作が40ミリ秒に短縮され、約1,000倍のパフォーマンス向上を実現したそうです。
登壇の詳細ポイント
- Appiumプラグインの導入方法とJavaScriptを使った実装例
- IDBが高速なタップ操作を可能にする技術的仕組み(コアシミュレーターサービスへのイベント送信)
- パフォーマンス改善の実際のデモンストレーション
プラグインは以下のような書き方で実装するそうです
KINTOテクノロジーズ社「効率的なアプリ自動化のためのガイドラインと実践方法」
続いて、KINTOテクノロジーズの岡さんとパンヌさんが、自動化テスト環境の構築方法と成果を発表しました。
弊社では、多様な端末やOSの組み合わせによる手動テストの負荷が増大していました。そこで、開発初期段階からQAチームと開発チームが協力し、統一されたテスト専用IDを設定する方法を導入しました。これにより、レイアウト変更に伴うXPATHの修正負荷を軽減し、テストの安定性が大幅に向上しました。
また、テスト結果はSlackでリアルタイム通知され、詳細なログや動画をBOXで管理する仕組みを構築しました。これにより、関係者全員が容易にテスト状況を確認できる環境を実現しています。
登壇の詳細ポイント
- 開発プロセスにおける自動テスト意識の統合
- テスト専用IDの設定前後でのメンテナンス負荷の比較
- SlackおよびBOXを活用したテスト結果の効率的管理方法
- Github Copilotを活用したコーディングの効率化
登壇資料
📌 参加者アンケートから見るE2Eテストの現状と関心トピック
今回、Meetupにご参加いただいた皆さんを対象にアンケートを実施しました。その結果から得られた興味深い傾向を紹介します。
① 参加者の職種割合
参加者の半数以上(54.1%)はQAエンジニアでしたが、SET/SDET、Webやモバイルアプリケーションエンジニアなど多様な職種の方にもお越しいただきました。
② Appiumの利用経験
Appiumに関しては、半数以上(55.7%)が「使ったことがない」と回答しており、新規ユーザーや導入を検討中の方が多いことが分かります。一方で一定の経験(1年以上)を持つ方もおり、利用の成熟度には幅がありました。
③ E2Eテストの実務経験
E2Eテスト全般では、「1〜3年(27.9%)」や「5年以上(24.6%)」といった比較的経験豊富な層が半数を超えており、実務での活用が広がっている状況が確認できました。
④ 最も関心のあるトピック
参加者が特に興味を持ったトピックとしては以下のようなものが挙げられました。
- Appiumによるテスト導入の成果や事例
- Appiumの活用シナリオや注意点、実際の苦労話
- CI/CDへの組み込みや、クロスプラットフォーム(React Native、Flutterなど)への対応状況
今回のアンケート結果を踏まえて、今後も皆さまの関心やニーズに沿った情報をお届けしていきたいと思います。
ネットワーキングと今後の展望
セッション後のネットワーキングではピザを囲んで積極的な交流が行われ、新しいアイデアや協力関係が生まれました。Appium Meetup Tokyoは今後も定期的に開催予定で、登壇者や運営メンバーを募集しています。ぜひ次回もご参加ください。
参加を検討している方へ
- モバイルアプリの自動テストをこれから本格的に導入したい方
- Appiumに興味があるが具体的な事例やノウハウが欲しい方
- CI/CDと組み合わせた運用に関心があるエンジニアやQA担当の方
- 他社事例を参考に自社のテスト文化を改善したい方
上記に当てはまる方は、ぜひAppium Meetup Tokyoで最新の知見を共有し合いましょう。今後の告知や詳細情報は@AutifyJapanや@KintoTech_Devでさせて頂きます。ご質問やご要望などがございましたら、お気軽にお寄せください。
次回の「Appium Meetup Tokyo #2」でお会いできることを心より楽しみにしています。
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