Google Sheets × MCPで業務を自動化してみた – 面倒な作業を一行で解決!

はじめに
はじめまして。KINTOテクノロジーズでAndroidアプリ開発を担当しているJongSeokです。
ある日、資料を整理していて、Google Sheets に内容を移しながら整えていると、ふとこう思いました。
「これ、めっちゃ面倒くさくない……?」
同じような内容を何度も入力して、セルのフォーマットも整えて……
難しくはないけれど、これって本当に人間がやるべきことなんだろうか?と感じました。
そこで、最近よく目にするAIツールで自動化できないか調べてみたところ、
出会ったのが MCP(Model Context Protocol) でした。
いくつかのツールを試してみた結果、
なんと自然言語の「一行だけ」で Google Sheets を操作できました。
この体験は、正直かなり衝撃的でした。
MCPとは?
MCPは「Model Context Protocol」の略です。
名前は少し堅く聞こえるかもしれませんが、実際はとても直感的な役割を持っています。
簡単に言うと、
AIが実際のツールやサービスを自由に操作できるようにする「通訳」のような存在です。
この記事ではその中でも、Googleサービスと連携する事例にフォーカスして紹介していきます。
もっとわかりやすく言うと
普段使っているGmailやGoogle Drive、Google Sheetsなどのサービスは、人がクリックして操作します。
MCPは、そういったサービスを AIが自動で操作できるようにするものです。
たとえば、こんなことができます。
Google Sheetsに何かを記録したい時、通常はこんな感じかと思います。
- シートを開いて
- セルをクリックして
- データを入力する
MCPは、そういったサービスをAIが自動で操作できるようにするものです。
それでは、実際のデモを見てみましょう。
https://www.kinto-technologies.com/products/
次のWebページを参考にして、新しいGoogleスプレッドシートを作成し、紹介されている製品・サービスを整理してください。
上記のように指示した場合の実際の操作イメージが、以下のデモ動画です。
このように一文で指示するだけで、AIがGoogle Sheets APIを呼び出し、シートに自動でデータを入力してくれます。
本当に簡単にデータ整理ができてしまいました。
MCP最近流行ってるの?
技術的に可能ということと、実際に人々が関心を持っているというのは別の話。
そこで、Google Trendsで「MCP」というキーワードの検索トレンドをチェックしてみました。
2025年3月から5月までのデータを見ると、
特に4月中旬から検索数が急激に増加しているのが分かります。
これは単なる興味を超えて、
開発者だけでなく一般ユーザーまでがMCPを実際に「使い始めている」ことを示しているとも言えます。
自分もその波に乗った、という感じです。
では、実際にMCPを試してみたい場合、どのような方法があるのでしょうか?
MCPを活用するには、自然言語の命令を受け取り、それを実行できる環境が必要です。
実際、Claude(Anthropic)など、MCPと連携できるAIエージェントはいくつか存在しますが、今回私が選んだのは、AI機能が組み込まれたコードエディタ「Cursor」でした。
Cursorとは?
Cursorは一言で言えば、AI機能が組み込まれたコードエディタです。
自然言語でコードを依頼すれば、AIが自動で提案・修正・説明などをしてくれます。
MCP の命令を書く際にも、Cursorを使えばよりスムーズに記述できます。
Cursorについてもっと詳しく知りたい方は、公式サイトやブログを参考にするのがおすすめです。
https://www.cursor.sh
それでは、一緒に始めてみましょう
MCPとGoogle Sheetsを連携して実際に自動化を体験するには、まずいくつかの準備が必要です。
難しい知識は不要なので、安心してください。一つずつゆっくり進めていきましょう。
事前準備
自動化を始める前に、以下の項目を準備しておきましょう。
- MCPをサポートするエディタのインストール(今回はCursorを使用)
- Googleアカウント
- 自動化したいGoogleサービス(DriveやSheetsなど)
- MCP Server(https://github.com/xing5/mcp-google-sheets) ←本記事ではこれを利用します。
- 簡単な自然言語での命令文を考える準備
Google Cloud Platform (GCP)の設定
まず、Google Sheets APIを利用するためにGCP側の設定を行います。
1-1. プロジェクトを作成
GCP コンソールにアクセスし、新しいプロジェクトを作成します。
1-2-1. サービスアカウントを作成
AIがGoogle Sheetsにアクセスするための「サービスアカウント」を作成します。
Service Accountsの+Create service accountを押します。
Service account nameを入力してDoneを押します。
1-2-2. Permission追加
Permission→Manage access→RoleをEditorにしてSaveを押します。
1-2-3. Keys追加
Keys→Add Keyに押してJSONを選択してCreateします。
そうしたら認証ファイルがDownloadされます。
ファイルの中身のこんな感じになります。
これでサービスアカウント発行は終わりです。
このファイルclient_emailは後で使います。
1-3. Googleサービスを設定
APIS & ServicesのLibraryを押します。
今回利用したいServiceが見えますね。
Drive | Sheets |
---|---|
![]() |
![]() |
二つのServiceをEnableを押します。
2-1. GoogleDriveの設定
Google Driveに入ってAIを利用するFolderを作ります。
例)Sheets For MCPで作りました → その後ShareのShareを押します。
上の欄には
1-2. サービスアカウントを作成したJSONファイルに中にある
client_emailをcopyして入力します。
追加されたか確認してDoneを押します。
2-2. Folder IDを取得
設定が終わったらFolder IDを取得します。
これで設定に必要な物は全部準備できました。
実際に設定して使ってみましょう!
MCP設定(Cursor&Terminal)
Windowsでも可能ですが、ここではMacを基準に説明します。
MCPのセットアップには簡単なCloudServerを利用する方法もありますが、今回はLocalServerでやってみます。
まずはuv,uvxが必要なのでTerminalでインストールしましょう。
uvx
は、高速なPythonパッケージインストーラとレゾルバであるuv
の一部らしいです。
1. uv,uvxインストール & 環境変数セット
curl -LsSf https://astral.sh/uv/install.sh | sh
上手くインストールできました。
ご自身の環境に合わせて値を入力してください。
export SERVICE_ACCOUNT_PATH="/path/to/your/service-account-key.json"
export DRIVE_FOLDER_ID="YOUR_DRIVE_FOLDER_ID"
準備した二つSERVICE_ACCOUNT_PATH, DRIVER_FOLDER_IDを環境変数でセットします。
2. Project設定
git clone https://github.com/yourusername/mcp-google-sheets.git
cd mcp-google-sheets
ProjectをCloneし、Cloneしたディレクトリに移動します。
どこに置いても問題ありませんが、管理しやすくするため、発行されたservice_account.jsonファイルはProjectの下に移動しました。
サーバーを起動してみましょう。
uv run mcp-google-sheets
これでLocalのサーバーは準備できました。
最後に使うためにMCPを設定しましょう。
3. MCP設定
MCP設定するためには右上にある⚙️を押します。
MCP項目中にある+Add new global MCP Serverを押します。
入力画面が表示されます。
{
"mcpServers": {
"mcp-google-sheets-local": {
"command": "uv",
"args": [
"run",
"--directory",
"/Users/jongseok.bae/MCP/GoogleServices/mcp-google-sheets",
"mcp-google-sheets"
],
"env": {
"SERVICE_ACCOUNT_PATH": "/Users/jongseok.bae/MCP/GoogleServices/mcp-google-sheets/service_account.json",
"DRIVE_FOLDER_ID": "1n4HUOiglwjiTKHcw8jSATYcPtCRqNn6O"
}
}
}
}
args
にはご自身のProjectがあるPathを入力env
にはSERVICE_ACCOUNT_PATH,DRIVE_FOLDER_IDを入力
上記の値を入力して保存します。
🟢が点灯していれば、正しくセットアップされています。
このMCPで利用可能な機能はTools:list_spreadsheets,create_spreadsheet,get_sheet_data...など表示されます。
これでセットアップは完了です。お疲れさまでした!
それでは実際に、どのように自然言語で命令を出して、Google Sheets に自動入力を行うのかを試してみましょう。
実際に使ってみる
準備が整ったところで、いよいよ本番です。
例えば、以下のように自然言語で指示を出すだけで…
https://news.google.com/home?hl=en-US&gl=US&ceid=US:en 「本日のGoogleニュース」 という名前の新しいGoogleスプレッドシートを作成してください。
掲載されているトップニュースを、タイトル、概要、URLの3列で整理してシートに追加してください。
実際には裏側で、次のような流れが走っています:
- Cursorで命令を入力
- MCP Serverが命令を受信
- 自然言語を解析 → Google Sheets APIに変換
- 自動でスプレッドシート作成 + データ挿入
MCP実行する中身を見るとこんな感じになってます。(自然言語を解析して処理を実行)
結果として、上で紹介したようなスプレッドシートが生成されました!
まとめ
今回紹介したMCPとGoogle Sheetsの連携は、単なる技術紹介にとどまるものでがありません。
「自然言語一文で業務を動かす」という体験は、
もはや未来の話ではなく、今この場で実現可能なことです。
もちろん、セキュリティやアクセス制御など、まだ検討すべき課題もあります。
しかし、小さな自動化から始めていくことで、業務効率化の可能性は十分に感じられました。
もし業務の自動化を考えている方は、今回の事例を参考に、ぜひ一度試してみてください。
想像よりも早く、変化を実践できるかもしれません。
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