KINTO Tech Blog
生成AI

【実践】Midjourney v7「Omni-Reference」で、キャラクターの見た目を統一した話

Cover Image for 【実践】Midjourney v7「Omni-Reference」で、キャラクターの見た目を統一した話

こんにちは。KINTOテクノロジーズのクリエイティブ室でデザイナーをしている桃井(@momoitter)です。

この記事では、Midjourney v7に新たに搭載された「Omni-Reference」機能を使って、オリジナルキャラクター「しぇるぱ」の見た目を統一したプロセスをご紹介します。

この記事はこんな方におすすめです

  • Midjourney v7のOmni-Referenceについて詳しく知りたい
  • キャラクターの一貫性を保った画像生成に挑戦したい
  • AIツールで高クオリティなビジュアル制作をしたい

実際のプロンプトや生成画像も交えながら、Omni-Referenceの活用ポイントや調整のコツを解説していきます。

Omni-Referenceとは?

midjourney
2025年5月、Midjourney v7に「Omni-Reference」という待望の機能が登場しました。

これは、特定の画像を参照しながら一貫性のあるビジュアルを維持しつつ、新しい画像を生成できる機能です。
これまでv7では難しかった「キャラクター性の維持」が可能になり、人物だけでなく物体や乗り物にも対応しています。

また、「Omni Strength(ow)」というパラメータによって、どの程度参照画像に忠実に生成するかを数値で調整できます。

「しぇるぱ」について

しぇるぱとは?

sherpa
2024年11月、KINTOテクノロジーズの社内イベント「超本部会」のオープニングムービーに、AIで生成されたキャラクター「しぇるぱ」が登場しました。

その後、エンジニア向けのイベントや人事採用イベントなどで、KINTOテクノロジーズを説明するナビゲーター的存在として活躍しています。

誕生のエピソードはこちら
https://blog.kinto-technologies.com/posts/2025-03-07-creating_a_mascot_with_generative_AI/

なぜ見た目を統一したかったのか?

しぇるぱの誕生以降、画像生成AIや動画生成AIは急速に進化しました。
その結果、当初のビジュアルはやや古さを感じさせるものになってしまいました。

ちょうどその少し後に、Midjourney v7やRunway Gen-4がリリースされ、生成クオリティが飛躍的に向上。「しぇるぱ」のビジュアルもこのタイミングでアップデートすることにしました。

アップデートの過程はこちら
https://blog.kinto-technologies.com/posts/2025-06-06-ai-character-movie-making/

ただし、v7の表現力は非常に高い一方で、リリース当時は同じキャラクターの見た目を一貫して再現する機能がなく、生成するたびに微妙に顔が異なるという課題がありました。

difference

しかもアップデートによりクオリティが上がった分、初期のしぇるぱが持っていた「キャラクターとしての親しみやすさ」が薄れてしまうという副作用も。

そんな中、2025年5月、Midjourney v7に「Omni-Reference」という新機能が追加されました。

私はこの機能を使って、元の見た目を活かしながら、v7らしい美しさとリアルさを兼ね備えた「進化したしぇるぱ」の再構築に挑戦しました。

いざ実践!

ChatGPTに相談

chatgpt

まずはChatGPTにこう相談しました。

「Midjourney v7のOmni-Referenceに添付の画像をアップして、このピンク髪の女性のキャラクターの見た目を固定しながら、クリーンな背景を付けた正面向きの画像をMidjourneyで生成したいです。Midjourney用のプロンプトを教えてください。」

そうすると、このようなプロンプトが返ってきました。

upper body portrait of a female virtual operator in a clean futuristic interior, facing camera directly, symmetrical composition, looking straight ahead, centered, gentle expression, slightly relaxed face, subtle smile, brightly illuminated face, soft front lighting, high key lighting on the face, studio-style lighting setup, clear and vivid facial features, softly lit background, minimalistic sci-fi control room, white and silver tones, crisp details

Omni-Referenceの使い方

Step1:画像をドラッグ&ドロップ

omnireference
参照させたい画像を、Midjourneyのプロンプト入力欄へドラッグすると、画面上部のバーに「Omni-Reference」が表示されるので、そこにドロップ。

Step2:Omni Strength(ow)の調整

omnistrength
「Omni Strength」では、一貫性の強度(=元画像への忠実度)を調整できます。数値はowというパラメータで指定します。

Step3:生成開始

start
ChatGPTから取得したプロンプトを入力して、生成スタート!

「ow」値による変化

ow

  • owが低い(例:100〜200) → 元画像とはあまり似ないが、Midjourney特有の繊細で美しい描写が得られる
  • owが高い(例:800〜1000)→ 元画像には似るが、引っ張られすぎてMidjourneyらしさが失われてしまう。

ow100
ow100

ow200
ow200

ow400
ow400

ow600
ow600

ow800
ow800

ow1000
ow1000

最適なバランスを探して

2000
試行錯誤の末、「しぇるぱ」アップデートにはow 200〜400が最適という結論に。
このあたりの数値だと、元の面影を保ちつつもMidjourneyらしさのある美しい描写が可能でした。

fix
ある瞬間、「これだ!」と思える1枚が現れました。 元のしぇるぱの面影を残しつつ、Midjourneyらしい美しさと繊細さもある理想のビジュアルです。

シーン展開と世界観づくり

決定画像をベースに、Omni-Referenceで構図や背景を展開していきました。
ChatGPTにも再度相談し、シーンのアイデアやMidjourney用のプロンプトを取得。

another01
another02
しっかりしたベースがあると、それに沿った世界観の展開もスムーズでした。

こうしてアップデートした「しぇるぱ」の新しい見た目は、会社紹介動画の冒頭にも使われています。
https://www.youtube.com/watch?v=8Df_0StDAiw

応用:社内の他コンテンツにも展開

さらに先日の社内勉強会の登壇資料でも、しぇるぱを活用。
Omni-Referenceのおかげで「似てる・似てない」を気にする手間が省け、資料やイベントビジュアルなどにもスムーズに導入できるようになりました。
application01
application02
application03

実践でわかったコツ

Omni-Referenceは非常に強力な機能ですが、その分「参照が強すぎる」こともあります。

  • 服装まで自由にしたい → 顔のみの画像を添付
  • 髪型も変えたい → 目元中心など、必要最低限の情報だけにする

このように参照範囲を調整することで、顔の一貫性を保ちつつも、Midjourneyらしい自由な表現の恩恵を受けることができます。

まとめ:誰でも「しぇるぱ」を作れる時代へ

Omni-Referenceの登場によって、キャラクターのビジュアルを一貫して保ちながら高クオリティなシーン展開ができるという制作環境が整いました。

これはつまり、「しぇるぱ」のような存在を、誰でも再現できる時代が来たということ。

私ひとりの中に閉じこめておくのはもったいない。 だからこそ、これからは社内の皆の創造性でしぇるぱを育てていけたらと思っています。

表現を拡張し、「しぇるぱ」をもっと羽ばたかせていきたい。
AI技術の進化とともに、「しぇるぱ」も進化を続けていきます。
butterfly

Facebook

関連記事 | Related Posts

We are hiring!

【UI/UXデザイナー】クリエイティブ室/東京・大阪

クリエイティブ室についてKINTOやトヨタが抱えている課題やサービスの状況に応じて、色々なプロジェクトが発生しそれにクリエイティブ力で応えるグループです。所属しているメンバーはそれぞれ異なる技術や経験を持っているので、クリエイティブの側面からサービスの改善案を出し、周りを巻き込みながらプロジェクトを進めています。

【フロントエンドエンジニア メンバークラス(DX等)】DX開発G/大阪

DX開発グループについて全国約4,000店舗のトヨタ販売店の営業プロセスを中心に、販売店スタッフのお困りごとをテクノロジーとクリエイティブの力で解決に導く事業を展開しています。

イベント情報

Mobility Night #3 - マップビジュアライゼーション -