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世界の橋渡し:ビジネスアナリスト(BA)の力

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本記事はKINTOテクノロジーズアドベントカレンダー2024の21日目の記事です🎅🎄

はじめに

皆さん、こんにちは!DLです。KINTOテクノロジーズ(KTC)のグループコアシステム部で、ビジネスディベロップメントチームに所属しています。今は、保険などの付加サービスを備えた自動車リース事業 KINTO ONE の社内システムを導入するため、ラテンアメリカのKINTO事業部と連携しています。ビジネスアナリスト(BA)として私が注力しているのは、 KINTOの業務分析と、ITソリューションの作成でワークフローを合理化して、効率性を向上させることです。

ビジネス分析がグローバルチームの一部となる前は、システム設計がKINTOグローバルビジネスの期待に十分応えられていないことがよくありました。日常業務の複雑さに対応できる、エンタープライズレベルのソリューションが求められていたのです。ここで活躍するのがBAです。日々の業務プロセスを把握し、懸念材料となる課題に対処する上で、BAは欠かせない存在です。ビジネス分析は、グローバルプロジェクトに価値を付加する戦略的な柱と言えるでしょう。

今日は、なにかと誤解されがちなBAの世界へ、皆さんをご案内します。「ただ数字ばかり気にしてる人じゃないの?」とか、「他の人の言うことをメモしてるだけなのでは?」と思うかもしれません。でも、BAの仕事って、それ以上に奥が深いんです。問題解決や戦略、コミュニケーションも欠かせません。

BAの本質は、技術とビジネスの世界を橋渡しすることです。効率アップ、業務の合理化、テクノロジーの導入など、どんな場面でもBAは耳を傾け、分析し、実用的で効果のあるソリューションを形にしていきます。経営幹部からエンドユーザーまで、関係者を巻き込むことでBAは重要な言葉の架け橋となります。そして、ビジネスニーズを効果的なテクニカルソリューションへと落とし込んでいきます。

ストーリー 1 - 聞く力:ビジネスアナリスト(BA)の役割

BAにとって欠かせないスキルのひとつが、聞く力です。ただ言葉を聞くだけでなく、その裏にある本当のニーズに耳を傾けることが大切です。あるプロジェクトで、とある金融会社の非効率的なレポート作成プロセスに取り組んだことがあります。世界中の事業部門から四半期ごとのレポートがメールで届き、その数は1日あたり100通以上。それが障害になっていました。届いたファイルは手作業でダウンロード、統合、エラーチェックされていました。時間がかかり、ミスも起こりやすい状態だったのです。

実際にその現場を見て、関係者と一緒に課題を洗い出していきました。IT部門と連携し、レポートを直接提出できる安全なLANディレクトリ構造を開発しました。バッチ処理やVBAスクリプトの自動化によって、データ確認、コピー、集計の作業がぐっと効率化されました。その結果、手作業の負担を約70%も削減することができ、より付加価値の高い分析に時間を使えるようになりました。この取り組みがうまくいったことで、部門全体でこの方法が採用されることになりました。

ストーリー 2 - 関係者を見落とした教訓

その後、とあるSaaS製品が、BAやユーザーの十分なレビューを経ることなく導入されました。コスト削減やダッシュボード機能が評価された結果の選定でしたが、既存の自動化ワークフローには対応できず、チームは手作業に逆戻りすることに…。

不満の声が上がりましたが、決定は覆らず、ユーザーの間には落胆と不満が残ってしまいました。この出来事からはっきりしたのは、ユーザーの本当のニーズに合ったソリューションを提供するには、初期段階からBAの関与が欠かせないということです。

物語は続きます…

ストーリー2は少し残念な展開に見えるかもしれませんが、とても大事な教訓を教えてくれます。それは、プロセスを変えるにせよ、新しい製品をつくるにせよ、成功のカギはエンドユーザーの声に耳を傾け、真のニーズを理解することにある、ということです。ここで、KINTOテクノロジーズのグローバルプロジェクトにおいて、BAが果たす重要な役割についてご紹介します。前にも少し触れましたが、グローバルチームは現在、ラテンアメリカのKINTO各部門と連携し、保険などの付加サービスを備えた自動車リース事業 KINTO ONE に取り組んでいます。

グローバルな製品やシステムを開発するということは、国や言語を超えて多様な仕様に対応することです。課題となるのは、各国の異なるニーズに柔軟に対応できるシステムを、どう構築するかという点です。では、どうアプローチすればよいのでしょうか?
各国のビジネスユーザーは、自分たちのプロセスについてはプロですが、そのプロセスは国によって変わります。一方エンジニアは、それぞれの違いを踏まえたうえで、柔軟性のあるシステムを構築するという難題に向き合っています。そこで登場するのが、BAです。BAはビジネスユーザーとエンジニアの間に立ち、両者の懸け橋となるのです。

BAとして私たちは、以下のような体系的なアプローチを取っています。

  1. ビジネスプロセスの収集:各国特有の業務プロセスを丁寧に文書化していきます。
    • BAとして、このステップは非常に重要です。というのも、BAは基本的にビジネスプロセスの専門家として、すべての工程を詳細まで完全に理解し、どんなステップも見逃さないようにする必要があるからです。このステップを達成するために、KINTOテクノロジーズのBAたちは実際にラテンアメリカの現地企業を訪問し、現場に赴きました。こうした現場の観察は、各プロセスのニュアンスを掴むために欠かせません。
    • さらに、このステップで重要なのは、企業が現在どんな懸念材料を抱えているのかを理解することです。なぜでしょう?それは、KINTOテクノロジーズが開発するシステムは、こうした懸念材料を解決し、ビジネスユーザーの日常業務に具体的な価値を付加することが求められているからです。この懸念材料にうまく対処できれば、ビジネスユーザーの手作業が減り、生産性と業務効率を上げられます。その効果は、作業時間の短縮、リードタイムの短縮、ユーザーの働きやすさの向上といった形で評価することができます。
  2. ギャップ分析の実施:この分析では、各国におけるプロセスの違いや共通点が浮き彫りになります。
    BAとして、このステップでは特に重要なポイントが2つあります。
    • 作業手順の順序:各国で作業手順の順序が似ていれば、それはかなりの朗報です!でも、もし一方の国だけ順序が逆だった場合、両方に対応できるシステムを設計するのは、はるかに複雑になります。たとえば、車両の修理を行う場合:ケース1では、まず修理がKINTOサービスとして承認されて、その後実際の修理作業が始まります。一方ケース2では、先に修理作業が行われます。そしてその後で、そのサービスがKINTOサービスとして含まれているかどうかが確認されます。このように手順に違いがあると、システム設計の難易度が上がるのです。
    • 外部システムとの統合:このステップで欠かせない、もう1つの重要なポイントがあります。それは、現在さまざまな国で使われている外部システムやプラットフォームに目を向けることです。たとえば、ある国では会計システムにSAPを使用していて、別の国では異なるタイプの会計システムを使用しているかもしれません。こういった違いが、グローバル製品に必要な統合を複雑にしているのです。
  3. ソリューションの共同作業:ギャップ分析を使用して、BAはエンジニアとタッグを組みながら、関連のある国すべての要件に対応できる柔軟な設計を進めていきます。
    • このステップでは、エンジニアの力を借りて複雑なパズルを解いてくような感じです。BAにとってこのステップはかなり重要です。なぜかというと、BAは基本的に両国のビジネスユーザーを代表する立場なので、どちらのニーズにも応えられるシステムを設計する必要があるからです。例え話ですが、ある国のニーズはセダンで、もう一方のニーズはバンだとします。ここでBAはエンジニアと協力して「じゃあSUVを開発しようか?」となるような感じです(笑)。このステップでは、プロセスの一つひとつを細かく検討し、すべての工程が両国のニーズにちゃんと対応できるかを確認していきます。そうして、すべてのステップがうまくつながり、まとまりのある柔軟なシステムとして作成できることを確認します。こういった複雑な課題を解決していくのって、とても楽しいんですよ!

結果として共同努力が生まれ、グローバル製品はビジネスニーズに応えつつ、システムの柔軟性とのバランスもしっかり取れるようになります。グローバルプロジェクトが成功する上で、BAの役割がいかに重要であるかを物語っていますね。

ビジネスアナリスト(BA)の力とは?

BA になるとは、どういうことでしょうか?それは、問題を解決する人にも、コミュニケーターにも、戦略家にもなるということです。つまり、疑問を投げかける好奇心、耳を傾ける忍耐力、そして粘り強く答えを探る力を持つということです。最終的には、組織の運営方法、人の働き方、意思決定の方法に、本当の変化をもたらすことがBAの役割です。

BAは目立つ存在ではないかもしれません。でも、私たちの仕事は成果に影響を与え、リソースの無駄を減らし、誰かの仕事をちょっとラクにしているんです。アイデアを現実に変え、ニーズを形に変える。その架け橋となっているのが、BAです。

ひとつ、覚えておいていただきたいことがあります。それは、「聞く力」をあなどってはいけない、ということです。BAでも、ステークホルダーでも、何かを変えたいと尽力している人でも。本当の前進は、聞くこと、言葉の橋渡し、そしてつなぐことから生まれます。

読んでくださって、ありがとうございました!

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