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GitHub Copilot と Cursor エディタ、両方課金してメリット・デメリットを比較してみた

Cover Image for GitHub Copilot と Cursor エディタ、両方課金してメリット・デメリットを比較してみた

KINTO テクノロジーズの酒巻裕也です。
普段はデータの分析から施策提案、機械学習を用いた機能の開発に従事しています。
以前は Prism Japan のAI機能開発を担当していました。

社内で Cursor と GitHub Copilot の比較検証を行ったので、その結果をご紹介します。


前提

  • KINTOテクノロジーズ社内では GitHub Copilot が標準備品として使えるルールがある。
  • Cursor エディタを利用することで、さらに生産性の向上が見込めないか、検証する。

Cursor

AIを搭載したコードエディタであり、Visual Studio Codeをフォークして作成されている。

Github Copilot

GithubがOpenAIと共同開発したツールであり、様々なIDE(Visual Studio Code, JetBrains, Eclipseなど)のプラグインとして利用が可能。

免責事項

  • 本記事には私の主観が多分に含まれます。Cursor の有用性を否定するものではありません。

検証したプラン

  • Copilot Enterprise ... $39 / month
  • Cursor Business ... $40 / month

結論

  • 2025年2月時点で、GitHub Copilot と Cursor の機能差はほぼ感じない。
  • 2024年12月時点では Cursor を推したかったが、Copilot の驚くべき進化速度によって、Cursor エディタを新たに選択する必要性を感じなくなった。

評価期間

  • 2024年12月 〜 2025年2月

比較表(Copilot vs. Cursor)

Copilot と Cursor を併用してみて、よく議論に上がったポイントを表にまとめました。
それぞれの項目について、詳細は後述します。

項目 GitHub Copilot Cursor
UI/操作性 - VSCode上でインラインの提案やチャット可能
- 右クリックでの操作が多い
- AI利用ショートカットがすぐに表示される
- インラインメニューがわかりやすい
QuickFix(import などの補完) - VSCode標準のクイックフィックスが強力 - 不安定で出ないことがある
- Fix in Composer など少し手間
類似修正の自動反映 - 何かを書き始める必要がある - タブで次修正箇所を予測・提案してくれる (複数箇所の修正に便利)
モデル選択 - 変更可能だが種類は少なめ - 追加・選択が豊富 (AIモデルを複数使い分けできる)
ルールファイル - .github/copilot-instructions.mdの設定で対応可能 - .cursorrulesファイルでプロジェクト毎のルールを適用可能
ドキュメント読み込み (@Docs など) - プラグイン等で対応可 - @Docs 機能でフレームワークやライブラリの文書を読み込める
エージェント機能 - Copilot Chat / Copilot CLI で類似機能あり - エージェントモードで自動実行・try & error
テストコード自動生成 - 生成自体は可能 (ただし精度はまちまち) - 同様に生成可能だが精度は微妙。要修正が必須。
価格 (Business/Enterprise) $39 $40

※評価内容は 2025年2月時点の主観的なものです。


Cursor のメリット(GitHub Copilot に比べて)

  1. AI利用ショートカットがすぐに表示される
    コードを選択した際に AI 利用のショートカットが自動で表示されるため、特別な操作を覚える手間が省ける。
    alt text

    • Copilot で同様のことは?
      • インラインチャット自体は可能。ただし他のファイルを参照する COMPOSE モードはなく、右クリックメニューから呼び出す必要があるなど、ひと手間かかる。
  2. 類似修正をまとめて提案してくれる
    似たような修正を複数箇所に当てはめたいとき、Cursor だと「次にどこをどう直すか」をタブで順番に予測してくれる。
    similar

    • Copilot で同様のことは?
      • 何かを書き始めないと予測をしてくれないため、Cursorほどスムーズな一括提案は難しい。
      • Copilotでも同様の機能が可能に※執筆中にも状況が変わってきました
  3. モデル選択・追加が柔軟
    Cursor は自分で任意のモデルを追加・選択しやすい構造になっている。

    • Copilot で同様のことは?
      • Copilot Chat もモデル切り替えが可能だが、現状できる範囲は限定的。
  4. @Docs 機能でフレームワーク/ライブラリのドキュメントを読み込める
    ドキュメントを事前に読ませておくことで回答精度を上げられる。

    • Copilot で同様のことは?
      • プラグインなどで近いことは可能だが、標準機能としてはそこまで充実していない。
  5. エージェントモードでの try & error 自動実行
    Cursor 内のエージェントモードでは、AI が一定の権限のもとコマンドを自動実行して試行錯誤してくれる。


Cursor のデメリット(GitHub Copilot に比べて)

  1. import補完が少し手間
    VSCode + Copilot では自動で import を補完してくれるが、Cursor ではマウスカーソルを合わせクイックフィックスを選択しないとimportしてくれない。
    similar

    • Copilot のほうが安定して優秀
  2. テストコードの自動生成精度がイマイチ
    自動生成をするとストレートにはテストが通らず、結局修正が必要なケースも多い。

    • Copilot も同様ではあるが、Cursor だからといって大きく向上している印象はなかった。
  3. 運用に合わない部分もまだ多い
    開発中のアプリによっては、Cursor に含まれる AI 機能が必要以上に多く、かえって混乱するメンバーもいた。


Cursor の「Composer」と「Chat」の違い

Cursor には大きく分けて ComposerChat の2つのモードが存在します。使い方やコンテキストの扱いに違いがあるため、社内で比較した結果を簡単にまとめました。

機能項目 Composer Chat
コンテキスト理解 自動的に現在のファイルを紐づける。
関連ファイルを自動提案する。
初期状態ではコンテキストが空。
必要に応じて手動で共有する必要あり
主な用途 コード生成・編集がメイン。
提案内容をインラインで即時修正しやすい
一般的な質問や説明を受ける用途が中心。
長めのやりとりに向いている
履歴管理 コントロールパネルに自動保存 チャット履歴を選択可能
UI インラインメニューでも利用可能。
サイドメニューからも操作できる
サイドメニューのみ
コードブロック実行 できない 可能(サイドメニュー内のChatでコマンドを実行)

Composerを使うべき場面

  • コンテキストがシンプルなコード修正
  • コード生成・編集をすぐに行いたいとき

Chatを使うべき場面

  • コンテキストが大きめのコード修正
  • エラーメッセージの解析、一般的なプログラミング質問
  • 長期間コンテキストを維持しながら作業したいとき

再度結論

  • 2025年2月時点では、Copilot と Cursor の機能差はそこまで大きくない
    むしろ Copilot の進化が想像以上に早く、2024年12月当時に「Cursor の勝ち」と思っていた部分を、数ヶ月で Copilot が埋めてしまった印象があります。

  • Cursor を使うメリットが少ないわけではない
    AI搭載のIDEとして専用のショートカットやエージェントモードなど、Cursor ならではの強みも依然としてあります。ただし、Copilot も対応を進めてきているため、あえて新規導入するメリットはやや薄れてきたかもしれません。

  • 結局どちらを使うか?

    • もし社内で GitHub Copilot が既に標準備品として利用可能なら、当面は Copilot だけで事足りる場面が多いでしょう。
    • とはいえ、大規模なコード修正やチャット駆動型の開発を積極的に取り入れたい場合、現状Github CopilotでのAIエージェントはVSCode Insidersで利用可能となっていますが、Cursor の Composer / Chat 機能を試してみる価値はあります。
    • 価格面でもほぼ同等なので、UI・操作感で選んでしまうのも一手です。

開発アプリ


参考

以上、Cursor と GitHub Copilot を使い倒してみた結果でした。
製品のアップデート速度はますます加速しているので、今後もぜひ定期的に検証していきたいと思います。

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