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51歳QAエンジニア、AIと歩んだ試行錯誤の一年:会社のAI推進機運と短納期リリース現場、両方に向き合った日々

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この記事は KINTOテクノロジーズ Advent Calendar 2025 の15日目の記事です🎅🎄

こんにちは。KINTOテクノロジーズ株式会社でQAエンジニアをしているおおしまです。今回は、51歳の私が今年一年間、AIに助けてもらいながら業務に向き合ってきた経験と、その活用の仕方についてご紹介します。ほぼ自分語りになりますが、お付き合いいただければ幸いです。

前提:AI推進の機運と現場の課題に挟まれて — 51歳からの挑戦

私の勤務するKINTOテクノロジーズでは、会社全体としてAI活用を強く推進する機運があり、専門部署の設立や数多くの研修機会の提供、社内環境の整備・アップデートなど、非常に恵まれた環境が整っています。そんな状況に身を置くと、「使わない手はない」という気持ちになるのは自然なことでした。

一方、私がメインで担当していた案件は、既存Webサービスの改善や機能追加を小さな単位で素早くリリースするものでした。規模は大きくありませんが、短期間で高品質を求められる開発・テストは常に厳しく、キャッチアップに苦労する日々。自動化や仕様整理の効率化は必須であり、AIはそれを支える重要な道具という認識は持っていました。

黎明期:まずは触ってみる — AIとの距離を縮めたきっかけ

昨年までは公私ともにAIに触れる機会はほとんどありませんでしたが、社内の機運もあり「学んで使えるようになりたい」という漠然とした思いはありました。そんな中、外部講師によるAI研修を受けたことが大きな転機になります。

研修は初歩的な内容でしたが、印象に残ったのは「毎日プロンプトを書いてAIと触れる」という講師のアドバイスでした。世の中の大きな成果を見上げるのではなく、少しずつでも使うことを習慣化する。これが私の中で「スモールスタートでも継続する」という意識に変わった瞬間でした。

この時期はまだ実務とは関係ない形で、AIと仲良くなるための時間を過ごしていました。

習熟期:現場の必然に応える — 短納期対応でのAI活用模索

最初は業務無関係にプロンプトを書いて、期待通りの答えなのか質問の仕方が悪いのかといった試行錯誤をしていました。そのうち実業務で効率化できないかと抱えてきた課題について、小規模なものからAIで解決できないか試すようになったのが研修から3か月ほど経過したくらいです。

それまでは実務ではAIは全く活用していませんでしたが、このくらいならできそうという感触を実務での困りごとの解決に生かすように仕向けてみました。

結果としてはいろいろできそうという感触がありつつ、まだ実戦投入にはしんどい状態というのがこの時期です(案件内容によっては現在もこの状態です)。

開花期:自動化の可能性を掴む — コード生成とプロセス変革

今年9月、社内では「Vibe Coding Challenge」という企画が行われました(詳細は別のテックブログ記事で紹介しています)。QAというコーディングが主業務ではない私たちにとっても、この企画は業務の進め方を発展させるきっかけになりました。

具体的には、テスト実施やデータ作成に必要な自動化コード生成でAIが大いに役立ちました。

これが出来たらいいなと願いがありながらスキル不足でできなかったこれらの作業をAIの助力であっさりクリアできたこと。これまでマニュアルテストで確認していたもののうち自動で置き換えできる領域の拡大可能性が見えたことが大きな成果でした。

適応期:実戦投入と成果 — 高頻度リリース現場でのAI活用

可能性が見えてきた一方、現場のスケジュールは相変わらず厳しく、むしろ以前よりタスク量は増加。期間延長はできない中で、もうAIに頼らざるを得ない状況でした。

とはいえ、まだ社内コンセンサスが十分ではないため、従来の手法で検証を行いながら、AIによる自動テストでカバーできる部分を徐々に増やす方針を採用しました。

案件詳細はお伝えできませんが、これまで「5車種を3日間で確認」していたペースを、AI活用によって「5日間で60車種以上」をこなすことに成功。今後も続いていく同種の案件では、この成功をベースにより効率的な進行が可能となり、大きな成功体験になりました。

展開期:情報共有と発信 — 知見を広げる挑戦

得られた知見はまずQAグループでの定例ミーティングで共有していきました。その後、社内外の勉強会で複数回登壇して成果を外部発信する機会をいただきました。まだまだ先を走る人から見ると小さな成果かもしれませんが、他社エンジニアとの交流から新しいアイデアを得られたのは大きな収穫でした。

2025年登壇イベント一覧

日時とイベント名 登壇タイトル 内容
3月27日 JaSST Tokyo QA作業における生成AI活用事例 SpeakerDeck※弊社ブース前でのミニセッションでプログラムには記載なし
9月24日 CO-LAB Tech Night vol.3 生成AIを自動テストに活用していくための試行錯誤と見えたもの
11月14日 TokyoTestFest Claude Code × Playwright環境で自然言語による指示のみでフロントエンドテストを自動実行できた話 ※弊社ブース前でのミニセッションでプログラムには記載なし
11月20日 AI時代の開発現場 — 成功と失敗のリアル共有会 Claude Code × Playwright環境で自然言語による指示のみでフロントエンドテストを自動実行できた話 SpeakerDeck※11/14とほぼ同じ

登壇機会が多かった理由としては会社がシンポジウムのスポンサーになったり、勤務先のOsaka Tech Labにイベントスペースがあって会場として多くの勉強会が開催されたりしたことが大きな助けになりました。そのほか、稚拙な内容ながらも恥を忍んで登壇できたのは、50歳を超えた厚かましさのおかげかもしれません。

終わりに:未来への展望 — AI4QAからQA4AIへ、次の挑戦

今年の取り組みは、とある勉強会で知ることになった今風の用語をお借りして「AI4QA:QA業務にAIを活用」の実現となります。一部できつつあるものの、まだまだ完成には程遠い出来というところも実感しています。この取り組みは来年以降も継続していきます。

その一方で、「QA4AI:AIに対してQAする」も世間的には進んできているようです。弊社でも各サービスや製品をAI活用を前面に押したものが増えるのではないかと想像しています。となると、これまで個人的には想定していなかったAI自体に立ち向かう時代も遠くないと感じています。

これはAI4QA以上の難関で、何をすればいいのかも見当が付きません。ただ、QA4AIが求められるのは、厳しくしんどい仕事である一方、51歳の私でも伸びしろを感じられる刺激的な面がある楽しみもあります。

とはいえ、自分自身の向上も大事ですが、エンジニアの仕事はいいサービス・製品を提供することが第一です。AI4QAでこれまで出来なかったことの実現や時間がかかったことが短縮できた成果を広げていくことは大事ですが、効率化による時間的・精神的余白が出来たことで人間だからできる品質向上への貢献ができれば、高速リリースの時代でもお客様に満足していただけるリリースに貢献できるのではと思います。

今年はこれまで触れる機会がなかったAIにある程度向き合うことができました。来年以降もしっかり向き合っていきたいと思います。

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