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『ユーザーに寄りそわNight!』── エンジニアがユーザーを知るための社内勉強会 Vol.02レポート

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ユーザーの使い方を知る機会が、日常の開発の中でほとんどないのが現実です。 その結果、開発者が作ったプロダクトが、実際にユーザーが使う場面ではまったく違う体験になることが分かっています。 この課題を解決するために、KINTOテクノロジーズでは「ユーザーに寄りそわNight!」という勉強会を立ち上げました。 その第2回では、開発メンバーがユーザーと同じ環境でプロダクトを実際に使ってみる取り組みを紹介しました。 開発環境では3秒かかるアプリの表示ですが、現場では急いでいるときや周りに人がいるとき、その3秒がまったく違う感じになります。 ユーザーが実際に使う状況で感じる「遅い」という感覚は、開発環境では見えない課題です。 この体験を共有することで、開発者がユーザーの視点に立てるきっかけが生まれました。 パネルで話された「忖度を捨てる」という言葉が特に印象的です。 開発者は「APIをたくさん呼んでるからしょうがない」と思い込んでしまうことがあります。 その思い込みを捨てて、ただユーザーとしてアプリを触ってみることから始めると、気づきが生まれます。 この一歩は、大がかりな準備をしなくても、誰でも今日からできる行動です。 参加者が「うちのチームでもやってみたい」と言ってくれた声が半数以上でした。 業務システムを担当するチームも、「実際に業務をやらせて、フィードバックを貯める場を作る」と具体的なアイデアを書きました。 ユーザーは、toCの顧客だけではなく、社内の誰か、パートナー企業の誰かかもしれません。 Vol.01から半年で、Slackの参加者が60人から99人まで増えました。 「うちでもやってるよ」と声をかけてくれる人も増えています。 この取り組みは、大がかりなプロジェクトではなく、小さな一歩を繰り返すことで進んでいます。 今後も、チームごとに生まれる「寄り添い方」を勉強会で共有し、次の一歩につなげていきます。
こんにちは。KINTOテクノロジーズ(KTC)でKINTOの中古車ECサイトのディレクターをしているかーびーです。KINTO Technologiesでは「ユーザーファースト」を会社の重点方針のひとつに掲げ、全社でさまざまな取り組みが進んでいます。私も自分のチームで、ユーザーインタビューの録画をみんなで見る「ユーザーインタビューわいわい会」を試すなど、お客様の一次情報に触れる場づくりに取り組んできました。
こうした取り組みをきっかけに、現在はユーザーファーストを社内に広めるための活動にも運営メンバーのひとりとして関わっています。そのひとつが、今回ご紹介する社内勉強会「ユーザーに寄りそわNight! Vol.02」です。
自分たちのサービスを、ユーザーが使っているところを見たことはありますか?
勉強会の中で参加者にこの質問をしたところ、約7割が「ない」と回答しました。

関心がないのではなく、日常の開発フローの中にその機会がない。要件をヒアリングして、仕様に落とし込んで、品質の高いものを作って届ける。エンドユーザーがどんなふうにサービスを使っているかに触れる機会は、意外と少ないのが現実です。
しかもKINTOテクノロジーズの場合、関わるサービスはトヨタ自動車、株式会社KINTO、開発を担う私たちなど、複数の組織で成り立っています。本来なら1社の中で完結する「作って、使ってもらって、フィードバックをもとに改良する」という流れを、組織をまたいで回していく。ここが私たちの組織ならではの難しさだなと感じています。
関わる人が増えるほど、それぞれの立場や見えている景色は違ってきます。だからこそ、作っている一人ひとりがユーザーの姿を知っていることが大事になる。「あのお客様、こう言っていたよね」という共通の記憶がチームにあると、議論もかみ合いやすくなります。
言われたものを作るだけじゃなく、自分たちから価値を届けていく。「ユーザーに寄りそわNight!」は、ユーザーを知るために踏み出した社内チームの取り組みを紹介する勉強会です。
方法論の講義ではなく、隣のチームの体験を共有する場
この勉強会で大事にしているのは、 「私にもできそう!」 と思えることです。
ユーザーリサーチの手法を網羅的に学ぶ場ではなく、他のチームの取り組みを聞いて「これなら自分のチームでもできそう」と感じてもらう。そんな場でありたいと考えています。
toCでもtoBでも、自分たちの仕事の先には必ず使う人がいます。その誰かに寄りそっていくことが、ユーザーファーストの根っこにある考え方だと捉えています。
こうした考えから、勉強会では実際にユーザーと向き合う取り組みをしたチームに登壇してもらい、何をやって、何に気づいたかを共有してもらう形式にしています。専門的な方法論の紹介ではなく、隣のチームの体験を聞くこと。そこから自分のチームでも試してみたいと思える、小さなきっかけが生まれる場になればと思っています。
ユーザーに寄りそわNight! Vol.02:ユーザーと同じ環境で、プロダクトを使ってみる
2026年3月に開催された第2回の勉強会では、実際にユーザーが使っているのと同じような環境で、自分たちもプロダクトをテストしてみるーーそんな取り組みをしているチームに登壇してもらいました。ユーザーファーストの取り組みとして、社内の各所で生まれている実践をキャッチして勉強会に繋げていく中で、この取り組みのことを知り、声をかけたのが始まりでした。
トヨタグループには「現地現物」——実際の現場に足を運び、自分の目で見て判断する——という考え方があります。登壇してくれたチームはこの考え方をユーザー理解にも活かしたいと、開発メンバー自身がユーザーと同じ状況に身を置いてプロダクトを使ってみる、という取り組みに挑戦していました。
机の前の3秒、現場の3秒
登壇でとくに印象に残ったのは、開発環境ではわからなかったことが、ユーザーと同じ状況で使ってみると次々に見えてきたという話でした。
たとえばアプリの表示にかかる時間。開発環境で3秒かかっても「ちょっと遅いな」と感じる程度だけれど、ユーザーが実際に使う状況で体験する3秒はまるで別物。急いでいるとき、周りに人がいるとき、落ち着いて待てないとき。クーラーの効いたオフィスで感じる3秒と、現場で感じる3秒は、同じ時間とは思えないくらい違って感じられた、と。
「仕様通りに動く」はずのものが、ユーザーと同じ状況に置かれるとまったく違う顔を見せる。データでは見えない課題が、身体で感じられる瞬間でした。
「忖度を捨てる」という第一歩
では、現場で気づいたことをどう日常の開発に持ち帰っていくか。パネルディスカッションで印象に残ったのは、「忖度を捨てる」という言葉でした。
「アプリを使っていて『ここ遅いな』と思っても、『APIをたくさん呼んでるからしょうがないか』と開発者としての忖度をしてしまう。その忖度をあえて捨てて、純粋にユーザーとしてアプリを使ってみることが、まずできる第一歩」
開発者として「これはしょうがないか」と自分で飲み込んでしまう場面は、きっと多くの人に心当たりがあると思います。その忖度を一度横に置いて、純粋にユーザーとしてアプリを触ってみる。大がかりな準備をしなくても、今日から始められる小さな一歩として、とても印象に残った言葉でした。
これからも、小さな一歩を重ねていく
Vol.02の懇親会では、「うちのチームでもこういうことをやってみたい、でもどう始めればいいんだろう?」という声や、登壇者を囲んで「どうやって社内を巻き込んでいったんですか?」と具体的な進め方を聞く姿が、あちこちで見られました。
アンケートのフリーコメント欄には、約半数の方が「これから自分のチームでやってみたいこと」を書き込んでくれました。印象的だったのは、toCのサービスを作っているチームだけでなく、業務システムやプラットフォームを担当する方々からも、具体的な一歩の言葉が並んだことです。
「業務システムなのでユーザーがKINTO社員であり距離が近い。実際に業務をやらせてもらったり、フィードバックを貯める場を作ったりして、ユーザーファーストを実践する場を作りたい」
「忖度せずに改善アイデアを出し、検討する。アイデアを歓迎する空気を作っていきたい」
自分たちの仕事の先にいる「使う人」は、toCのお客様だけではありません。社内の誰か、パートナー企業の誰か、ときには自分自身かもしれない。それぞれの現場で、それぞれの「寄り添い方」がある。そのことを、登壇してくれたチームの話と、参加者の声から改めて感じた回でした。
Vol.01の開催から半年、社内Slackチャンネルのメンバーは60人から99人に増え、「うちでもこういうことやってるよ!」と声をかけてくれる人も出てきています。これまで各チームの中に閉じていた取り組みが、少しずつ表に出てくるようになりました。
「ユーザーファースト」は2025年の注力テーマとして始まりましたが、ユーザーのことを考えるのはプロダクト開発の基礎の基礎。一年限りのテーマで終わらせず、Vol.03に向けた準備も進行中です。
大がかりな取り組みでなくても、まずは自分のプロダクトをユーザーとして使ってみることから。気づいたことを隣の人に話してみることから。一つひとつのチームで生まれる小さな一歩を、勉強会という場で共有し、また次の一歩へつなげていく。この取り組みの火を絶やさないよう、これからも続けていきます。
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