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AIに指示するだけで会社デザインのスライドが完成する。AI-Nativeな公式パワポテンプレを作った話

AIに指示するだけで会社デザインのスライドが完成する。AI-Nativeな公式パワポテンプレを作った話 cover

はじめに

こんにちは、サイバーセキュリティと生成AI活用推進を担当しているたなちゅーです。

KINTOテクノロジーズ(以下、KTC)では、以前の記事で紹介した全社横断プロジェクト「AI-Native Dev」を中心に、AIネイティブな開発・業務プロセスへの変革を進めています。いまでは職種を問わず多くのメンバーが、日常業務のさまざまな場面でClaudeを利用しています。そうした環境の中で「パワーポイント作成もAI-Nativeにしたい」と考えるメンバーが現れ、それぞれがClaudeで利用しやすいパワポテンプレを自作するようになりました。こうした自作テンプレが社内で活発に使われている様子を目にしたことが、今回の取り組みを始める大きなきっかけです。

一方で、この動きには課題もありました。

  • 自作テンプレは個人ベース・非公式にとどまり、社内に複数の様式が並行して存在している
  • AI経由で生成したスライドの見た目がバラバラで、会社の資料としての統一感が出ない

そこで、これらの個人の創意工夫を束ねて、「AIが利用しやすい会社公式パワポテンプレ」として一本化・全社展開するプロジェクトを立ち上げました。この記事では、その取り組みを紹介します。

取り組みの概要

目指した状態

プロジェクトのゴールはシンプルで、「Claudeに指示するだけで、KTC公式デザインに揃ったスライドが出てくる」状態を全社員に提供することです。これにより、次の3つの価値を狙いました。

狙い 内容
時間短縮 資料作成をそのままAIへ渡せるようになり、作成時間を短縮できる
デザインの統一 AI経由でも、見た目の揃ったKTCらしい資料になる
個人の取り組みの組織化 AI-Nativeな個人の創意工夫を、組織としての成果に引き上げる

3つ目が本プロジェクトの特徴的なポイントです。単にテンプレを作るのではなく、すでに個人が生み出していたAI-Nativeな工夫を「会社公式」の標準にすることを重視しました。AI-Native Devが文化醸成の軸として掲げてきた「個人の知見を組織全体で活かす」を、パワポテンプレという誰にとっても身近な題材で実践した形です。

体制と進め方

推進はAI-Native Devが担い、テンプレートのデザインはクリエイティブグループが担当する協業体制で進めました。今後は技術広報グループとも連携しながら、利用促進に取り組んでいく予定です。

全体像は次のとおりです。

体制と進め方の全体像。AI利用者がAIで再現しやすい構造を逆算してクリエイティブGへインプットし、テンプレート設計につなげる体制と、Phase 0の期待値整理からPhase 4のヒアリングと改善まで5段階で進めた流れ

進め方として特に大事にしたのは、次の合意です。

「AIで再現しやすいフォーマット / スタイルガイドはどうあるべきか」をAI利用者側から逆算してデザイナーへインプットし、デザイナーがそれを受けてフォーマットを設計する。

デザインが完成してからAIに対応させるのではなく、設計の段階から「AIが出力しやすい構造」を要件に含めています。この取り組みを「AI-Native」と呼んでいるのは、こうした進め方によるものです。

フェーズは次のように区切りました。

フェーズ 内容
Phase 0 パワポテンプレへの期待値整理
Phase 1 たたき台テンプレの社内展開 & フィードバック収集
Phase 2 公式テンプレの作成と、AIが利用しやすい形(コンポーネント化・スキル化)への変換
Phase 3 全社アナウンス
Phase 4 利用者ヒアリングと継続的なメンテナンス

いきなり完成品を作るのではなく、まず有志の自作テンプレをたたき台として展開してフィードバックを集め(公開後50名以上が閲覧・ダウンロード)、その声をもとに公式版を作る、という2段階を踏んでいます。

AIが利用しやすいテンプレートの設計

完成したテンプレートには、AIとの相性を高めるための工夫がいくつも入っています。

完成した公式パワポテンプレのレイアウト一覧。目次・グラフ・比較表・タイムライン・システム構成図などの多様なレイアウトがダークトーンのデザインで統一されている

ヘッダー+ボディのコンポーネント構造

スライドを「ヘッダー+ボディ(シングル / スプリット / マルチカラム)」というコンポーネントの組み合わせとして構造化しました。AIは自由なレイアウトを毎回ゼロから作るよりも、決められた部品の組み合わせを選ぶ方が安定して高品質な出力を返せるためです。

レイアウト選択ルールのスキル化

「どんな内容のときに、どのレイアウトを選ぶべきか」というルールをClaudeのSkill(スキル)として整備しました。これにより、毎回テンプレファイルを渡さなくても、Claudeが自律的に適切なレイアウトを選択してスライドを組み立てられます。

使い方は3通り

展開にあたっては、作業スタイルに合わせて3通りの使い方を用意しました。

利用方法 向いている人・場面
方法1:テンプレPPTXをClaudeへ渡す まず試したい人。PowerPointでの手動編集も併用したい人
方法2:Skillを使う 資料作成の頻度が高い人。毎回ファイルを用意する手間をなくしたい人
方法3:Claude Designを使う 見た目を対話しながら細かく詰めたい人。1枚ものやビジュアル重視の資料

方法1は、Claude Coworkやチャットにテンプレファイルとアウトラインを渡して「このテンプレを踏襲して」と依頼する、いちばん手軽な入口です。

方法2のSkillにはテンプレのデザイン情報が組み込まれているため、社内のプラグインマーケットプレイスから一度インストールすれば、ファイルを用意しなくても依頼するだけで公式デザインの資料が生成されます。

方法3のClaude Design向けには、配色・フォント・レイアウトを定義したデザインシステム(ダーク・ライトの2トーン)を用意しました。pptxファイルとして配布・編集したい資料は方法1・2、見た目の作り込みを優先したい資料は方法3、という使い分けです。

「迷ったら方法1から」という導線にして、AIでの資料作成に馴染みのない社員でも一歩目を踏み出しやすくしています。

Skillを組み込んだClaudeのチャットで会社紹介資料を依頼し、公式デザインに揃った会社概要・事業内容などのスライドが生成されている様子

おすすめの進め方は「先にアウトラインを固める」

どの方法でも共通して案内しているのが、いきなりpptxを作らせず、先にClaudeと壁打ちしてアウトラインをMarkdownで固める進め方です。生成されたpptxに「2枚目を直して」「構成を変えて」と修正を繰り返すと、そのたびにファイルの再生成が走り、時間もトークンも大きく消費します。内容の試行錯誤はMarkdown上で済ませ、pptxの生成は最後の1回だけにすることで、トークン消費を大きく抑えられます。

また、生成された資料の数値・固有名詞・事実関係は必ず人の目で確認する、という運用もあわせて案内しています。テンプレ自体も作って終わりではなく、利用者へのヒアリングやフィードバックフォームを通じて、レイアウトの追加なども含めて継続的にブラッシュアップしていく予定です。

おわりに

「AIに指示するだけで、会社公式デザインのスライドが出てくる」のは、使ってみるとシンプルに便利です。そして、それを実現する鍵は高度なAI技術ではなく、AIが扱いやすい形にテンプレートという「型」を設計し直すこと、そしてその型をデザイナーとAI利用者が一緒に作ることでした。デザインルールをどこまで厳密に縛り、どこを緩めるかの塩梅も、この過程で見えてきた収穫です。

個人の創意工夫として始まったAI-Nativeな動きを、組織の公式な成果に引き上げる。このモデルはパワポテンプレに限らず、さまざまな社内資産に適用できるはずです。この記事が、同じような取り組みを検討している方の参考になれば嬉しいです。

AI-Native Devの活動やナレッジは、引き続きテックブログで発信していきます。最後まで読んでいただきありがとうございました!

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