「障害」を新たな視点で捉え直す ~障害平等研修開催報告~
こんにちは。KINTOテクノロジーズのEngineering OfficeでAccessibility Advocateとして働いている辻勝利です。
今回は、去る1月15日に同チームの皆様向けに開催した「障害平等研修(Disability Equality Training)」についての開催報告をしたいと思います。 そもそも「障害平等研修」とはなにか、なぜEngineering Officeの有志向けに最初の研修を開催したのかなど、お話しできればと思います。
1. はじめに:なぜ「技術」の組織が「マインド」を学ぶのか

アクセシビリティの分野に携わる中で、私はある「失敗」を多く目にしてきました。それは、アクセシビリティが「障害者のための特別な対応」と定義された瞬間、優先度が下がり、多忙を理由に見送られてしまうという現実です。 これを変えるには、手法(How)の前に、アクセシビリティを追求する「意義(Why)」を社内文化として根付かせることが不可欠です。昨年11月にKINTOテクノロジーズに入社して以来、私が「文化形成」を最重視しているのはそのためです。その第一歩として、まずは身近なEngineering Officeのメンバーを対象に「障害平等研修(DET: Disability Equality Training)」を実施しました。
2. 障害平等研修(DET)とは

DETは1990年代のイギリスで誕生しました。日本でも「障害者差別解消法」の施行や、東京2020大会のボランティア研修に採用されるなど、世界標準のプログラムとなっています。 最大の特徴は、障害者自身がファシリテーターを務めること、そして「教わる」のではなく「参加者同士の議論」を通じて気づきを得ることです。今回は約1時間のダイジェスト版として、「障害とは何か?」「障害はどこにあるのか?」という本質的なテーマを深掘りしました。
3. 参加者の属性

今回はEngineering Officeを中心に、名古屋や福岡など各拠点から5名が室町オフィスに集結しました。普段リモートワークが多い私ですが、あえて対面形式を選んだのは、温度感のある深い対話の場を作りたかったからです。お菓子を囲み、リラックスした雰囲気の中で研修はスタートしました。
4. 研修の様子:問題を「発見」するプロセス

研修ではイラストやビデオを用い、日常に潜む「問題」を探し出しました。 印象的だったのは、参加者の皆さんがごく自然に、障害を「個人の問題」から「社会や環境の問題」へと転換して議論を進めていたことです。エンジニアリングに携わる方々らしく、目の前の事象を「解決すべき課題」として捉える姿勢が非常に頼もしく感じられました。
5. 心境・視点の変化:アンケートが語る「パラダイムシフト」

研修の前後で、参加者の「障害」に対する解釈は驚くほど変化しました。 最初は「心身の機能に関すること」や「それに伴って何かができないこと」という前提で話し始めていたメンバーが、ワークショップでの対話を重ねるうちに、自分たちの外側にある要因を含めた新たな視点で障害を捉え直そうとしている姿が印象的でした。 終了時には、参加者の口から「障害に対する考え方の前提がひっくり返った気がする」といった言葉が聞かれ、ファシリテーターとしてこの上なく手応えを感じた瞬間でした。
アンケートでも満足度・内容ともに10点満点中9〜10点という極めて高い評価をいただき、以下のような前向きな声をいただいています。
- 「本人と環境という、2つの問題に目線が広がりました」
- 「こういう考え方が一般常識になれば、世の中が変わると思う」
- 「ぜひ後半もやりたい。他の拠点やチームにも広めたい」
- 「議論を活発にするための心理的安全性についても検討していきたい」
6. 今後のアクション:誰もが「社会を変えるプレーヤー」に

モビリティの分野において「障害」について深く掘り下げることは、これからの移動の在り方を考える上で避けては通れないテーマです。
研修を通じて私たちが得た最大の収穫は、アクセシビリティを「誰かのための特別な対応」ではなく、「身近なところにあり自分たちが解決できるかもしれない課題」として捉え直したことです。自分の仕事のどこにバリアがあり、どこに解決の可能性があるのか。その気づきこそが、文化を変える第一歩になります。
誰もが社会のバリアを取り除く「プレーヤー」であると実感できる職場。その先に、KINTOテクノロジーズが「すべての人にとって働きやすく、価値を提供できる場所」になる未来を目指し、この対話の輪を他拠点や他部署へも広げていきたいと思っています。
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