登壇、ブース運営、参加。三つの視点で振り返る:CloudNative Days 2025 Winter

この記事は KINTOテクノロジーズ Advent Calendar 2025 の10日目の記事です🎅🎄
はじめに
KINTOテクノロジーズのCloud Infrastructure G(CIG)でInfrastructure Architectを担当している劉(YOU)です。11月から技術広報 Gも兼務することになりました。
2025年11月、弊社は「CloudNative Days 2025 Winter」に、スポンサー企業として参加しました。今回のイベントでは、弊社の社員2名が登壇し、私が所属しているCloud Infrastructure G・技術広報 Gがスポンサーブースを運営し、多くのメンバーが参加者として技術セッションに参加するなど、組織全体で積極的に関わることができました。
CloudNative Daysは、日本国内のクラウドネイティブコミュニティにおいて最大規模のイベントです。今回の参加を通じて、私たちは技術的な知見を深めるだけでなく、CloudNativeという概念そのものについて改めて考える機会を得ることができました。
本記事では、登壇者、ブース運営担当者、そして一般参加者、それぞれの視点から見たイベントの様子と、そこから得られた学びを共有します。
登壇者インタビュー
Cloud Infrastructure G、古代さん:「モビリティプラットフォームの未来を築くクラウド基盤」

登壇に至った経緯
- 古代さん:「入社して1年経っていない状態で、組織の歴史を知らない、技術選定の理由を知らない。自分が経験していない、実体験がないことをどう伝えればいいのか、それが一番大変でした」
当初は別のメンバーが登壇予定だったところ、都合により急遽登壇することになりました。2025年1月に入社したばかりで、組織の歴史や技術選定の背景を十分に把握していない状態でのチャレンジです。
テーマ選定の背景
古代さんはCloudNativeというテーマに対して悩みました。CloudNative関連の資料を探したら、多くの登壇者がKubernetesやコンテナなど、技術的に深い内容を発表する中、弊社は主にECSを利用していてKubernetesは限られた所だけ使っていません。しかし、その悩みこそが、同じような状況にいる多くの人々と共有できる価値だと気づきました。
- 古代さん:「CloudNativeはハイレベルに感じるかもしれませんが、そこに至るまでは組織としての試行錯誤が必要です。技術で尖ることも必要ですが、組織としてCloudNativeな文化を作ることが重要です。ベストプラクティスはありません」
最も伝えたかったのは、CloudNativeは手段であり、目的ではないということです。ビジネスに向き合いながら、適切な技術を選定していく。その試行錯誤の歴史をありのまま伝えることで、同じように悩んでいる人たちが前進できるきっかけになればと考えました。
当日の反応
会場Cの66名規模の会場は、ほぼ満席でした。オンラインで他のセッションを聞いていた方が、途中からこのセッションに移動してくるケースも多く見られました。
- 古代さん:「頷きながら聞いてくださる方がいて、スライドを写真に撮ってXに上げてくれる人もいました。技術がかなり重視されそうなイベントにおいて、自分のテーマに興味を持ってもらえたのは印象的でした」
質問もマイクで2名、「Ask the Speaker」で3名が訪れ、初めての登壇としては大きな手応えを感じることができました。特に印象的だったのは、Terraformの作り方やプラットフォーム組織の意思決定についての質問でした。これらは正解のない問いですが、みんなそういうところで悩むということを改めて実感します。
得られた学び
今回の発表は40分に至る長めのことでして、登壇に関する資料作成や発表練習に追われた古代さんは日々のアウトプットの重要性を痛感しました。
- 古代さん:「日々発表していれば、もっとスライド作りが簡単だったと実感しました。テックブログなどを書いていれば、それを応用して活用できるなと。アウトプットを頑張ろうと決意しました」
また、AIの使い方についても重要な気づきがあります。最初にAIとスクリプトでトークスクリプトを作ろうとして失敗した経験から、「どういうメッセージを伝えたいのかを固めた上で、どう表現すればいいかをAIに聞くのが重要。最初からAIに聞くのは絶対にダメ」という教訓を得ました。
次回への展望
次回は20分程度の短い登壇で回数を重ね、技術を中心にしたネタの発表もチャレンジしたいと考えています。また、せっかくのコミュニティイベントなので、グループワークや相互学習を通じて、参加者とよりネットワークを深めたいという思いも語ってくれました。
- 古代さん:「来年はCloudNative会議が開催されます。KINTOテクノロジーズはトヨタグループの中でも先進的にクラウド活用を進めている組織です。ハイレベルなものがあるわけではありませんが、ハイレベルのものを一緒に作ることはできるフェーズになっています。一緒にコラボしたり、勉強会をしたりする機会が増えると嬉しいです」
Platform G、李さん:「AI Agentで切り開くアラート対応の新時代」

CFP応募の決断
李さんは、採択される可能性は低いと考えながらも、「とりあえず出してみよう」という気持ちでCFPを応募しました。応募理由は明確です。会社の外部発信力を高め、グループ内でのエンジニア採用に貢献し、外部コミュニケーションの機会を得るためです。スポンサーワークとは完全に別枠での応募だったため、採択されたことに驚いたそうです。
資料作成での苦労
李さんが資料作成に苦労したのは、対象者のレベル設定でした。
- 李さん:「詳しい人もいれば、初心者もいる中で、どのレベルに合わせるか悩みました。知らない人が見ても理解しやすい内容にしたいが、軽すぎる内容では深い知識を求める人に物足りない。このバランスを取ることが最も難しかったです」
特にストーリーテリングにも力を入れました。「こういう課題があって→こう対応して→結果こうなった→現在はこうなっている」という流れを意識し、話の流れが自然になるよう、全体構成を何度も見直しました。資料作成には約1週間以上、継続的に質を上げるために原稿やプレゼンを整えました。
想定外の出来事
当日、最も不安だったのは、PowerPointのスクリプト機能が聴衆側の画面に表示されるかどうかです。40分の発表で台本なしは厳しいため、昼休みに自ら会場に行って確認を依頼しました。
- 李さん:「登壇者向けの情報提供として、到着時間やHDMI接続などの基本情報はありましたが、リハーサルや台本表示確認などの詳細な案内が必要でした。次回登壇する社内メンバーには、事前に会場で確認することをアドバイスしたいです」
参加者の反応
発表は全体的に好評で、同じ発表者である古代さんからも「今日のセッションで最も印象的だった」とのコメントをいただきました。発表終了後にも4〜5名が質問に来て、AI Agentに対する関心の高さを実感できたと話ました。
特に印象的だったのは、コンテキストエンジニアリングに関する質問です。AIに必要な情報と、人間にだけ必要でAIには不要な情報をどう区別しているか。この質問に対しても、現在検討中の対策を共有してくれました。
- 李さん:「LLMモデルのインプット制限の問題があり、コンテキストが大きくなりすぎると制限を超えてしまいます。シングルエージェント構成で対応予定で、LangChainの新機能を活用し、履歴を要約・圧縮する方式を検証中です。この改善内容を来年のカンファレンスや技術記事で発表したいと考えています」
得られた学び
李さんにとって、大規模なオープンコミュニティでの登壇は初めてだったので得られた事が多かったそうです。
- 李さん:「緊張はしましたが、思ったほど恐れる必要はないと感じました。やってみたい人がいれば、積極的にトライすることをお勧めします。他の登壇者や参加者から大きな刺激を受け、技術的なモチベーションが向上しました」
技術的な収穫としては、インシデント管理のSaaSやサイバーエージェント大山さんのLoki・Prometheusに関する発表が参考になったそうです。また、Xのフォロワーも数十人増加し、コミュニティでのつながりが広がりました。
次回への展望
時間管理については反省点があります。練習では台本を見ながら話すため早く終わりすぎないか心配でしたが、本番では緊張して言葉が出てこず、逆に時間が足りなくなり、1ページスキップする必要がありました。
次回は、コンテキストエンジニアリングの改善やAgentの評価方法について発表したいと考えています。
- 李さん:「Agentの効果をどう評価するか、評価基準の作成が難しい。同じアラートでも原因が異なる場合があり、正解データの作成が困難です。これは業界全体で共通の課題として認識されています。コンテキストエンジニアリングは最近注目されている分野で、ベストプラクティスがまだ確立されていません。多くの人が知りたがっている内容だと思います」
李さんからのアドバイスは明確です。
- 李さん:「まずは応募してみることが重要。採択されてから、未来の自分が何とかしてくれます。個人的な刺激とモチベーション向上、会社のプレゼンス向上、双方にメリットがある活動です」
インタビュー外の登壇
Cloud Infrastructure G マネージャーの辻さんもTOYOTAグループの技術コミュニティの紹介で登壇しました!
Cloud Infrastructure G、辻さん:「トヨタグループのエンジニアコミュニティ TURTLEの紹介!」

ブース運営インタビュー
今回のブース運営には、弊社の色んな方々が手を貸してくれました。Cloud Infrastructure G・Platform G・人事 G・技術広報 G、社内の様々なGの協力の上、盛り上がったブース運営を遂行し、無事に終わらせることができました。
ブース運営のインタビューの場合、ディスカッション方式で進みまして、
- Cloud Infrastructure G(CIG):古代さん、白井さん、安田さん、松尾さん
- 技術広報 G:村山さん
が参加してくれました。
準備段階での課題
CIGでのブース運営は初めてで何をしたらいいのかわかりませんでしたが、弊社では技術広報 Gが社内外を問わず、発信力を高める組織として今回のようにイベントの企画から振り返りまで全力で手伝ってくれます。
今回も、技術広報 Gの村山さんがブース運営の準備段階からサポートをしてくれました。マネージャの辻さんと一緒に調整して成功的にブースの運営ができたキーポイントでした。
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村山さん:「事前にマネージャーの辻さんと相談し、欲しい情報などを軽く伝えました。CIGの定例にて色々話を進めてくれて、シフトもいつの間にかできており大変助かりました。」
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村山さん:「また、週末にスポンサーをしたカンファレンスにてシステムアーキテクチャ図のボードを展示したら評判が良く、来場者と多くのコミュニケーションを取ることができていたので、開催日前日ながら『なにか掲載できるアーキテクチャ図とかありませんか?』と提案したところ、すぐにベストなアーキテクチャ図を提供してくれました。印刷もギリギリ間に合いブースに置けましたが、コミュニケーションのきっかけになっていたので用意できてよかったなと思いました!」
どういう物がブースに惹かれることに役立つかは色んなブース運営経験なしでは出来ないことだったので、本当に貴重なアドバイスだと思います。

クラウドインフラGでは今回初めてブース運営参加した人も多く、心構えのような心理的な準備が大半でした。
- 白井さん:「明るく元気に、ネガティブな印象を抱かせないように意識しました。ブースに来てくれた人に対して良い印象を持ってもらうようにしてほしかったです。」
白井さんが言うようにブースに訪ねてくれる方々にポジティブな姿を見せるために努力を注ぎました。
当日の様子と気づき
クラウドインフラGがCloudNative Days 2025 Winterで伝えたかったポイントは2つありました。スポンサーセッションに登壇した古代さんの話を聞くと、
- 古代さん:「1つ目は、クラウドインフラグループ[1]が何をやっているかをちゃんと知ってもらうこと。2つ目は、グループの内にあるソリューションチームの活動内容について広報です。弊社は自社サービスだけでなく、トヨタグループ全体に対して多様な活動をやっている。そこを来場者のの皆さんが少しでも知ってもらいたかったです」

具体的には来場者に対して、ブースで用意されていた質問ボードに記載されている、
- Q3.KINTOテクノロジーズを知っていますか?
この質問を通してコミュニケーションをとりながら、クラウドインフラグループとしての活動と会社の方向性を広く認知してもらうことができました。
また、他にも重要な気づきがありまして、
- 古代さん:「イベント参加者全員がブースに来てくれるわけではありませんが、ブースに来て話を聞いてくれる人は、少なくともKINTOテクノロジーズに興味を持ってくれています。また、CloudNative自体に関わっていない人も一定数いることに気づきました。イベントタイトルに対してのギャップとして印象的でした」
最初はCloudNativeのイベントなので、CloudNativeエンジニアが多く参加する印象がありましたが、既にCloudNativeな活躍を実施されているエンジニアより、CloudNativeをこれから目指したいと考えている方もたくさんいる事が分かりました。実際、会場ではアプリ開発者や営業・デザイナー・記者・学生などの様々なポジションの方が参加されていました。
- 安田さん:「もっとたくさんの人にKINTOテクノロジーズを知ってもらおうと思っていましたが、来場していただいた方の半数は既にKINTOテクノロジーズを知ってくれていました。直近実施したイベントの開発生産性カンファレンスや技術書典でKINTOテクノロジーズを知っていただいた方が多くて印象的でした」
また、CloudNativeDaysの参加者の傾向としてインフラ担当者がかなり少ないことも分かりました。アプリ担当者がインフラも兼任していることが多く、アプリコードを書きながらインフラのリソース作成やセキュリティ対応を実施するなど非常に大変だと言っていました。KINTOテクノロジーズは我々のように専門のインフラ組織やSRE/セキュリティ組織が存在しており、役割が細分化されているので、各々の専門領域に注力できているのだなと改めて強く感じてます。
質問ボードを通じて、様々な人の考え方を聞けたことが良かったとの意見もありました。質問の内容についても来場者のバックグラウンドや性格・気になるポイントによって変更したりしました。
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Q1.あなたのクラウドスタイルは? → 業務スタイル & 開発スタイル
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Q2.あなたにとって「良いインフラ」とは? → 「良い仕事」 & 「良いシステム」
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松尾さん:「ボードにある質問を深掘りして、人の考え方とか重要視していくことを聞けてよかったなと思ってます。印象に残っているのはAWS以外のクラウドサービスを触ってる人が意外と多くて、自分はAWSしか触ってないからマルチクラウドを少しでもやりたくなりました。」
様々なロールの方や、技術に対して高い興味ある方が多く参加されており、
- 白井さん:「多種多様なロールの方に来場していただきましたが、やはり私の専門領域以外のロールの方と話を広げるのが難しかったです。今後は幅広いロールの方と話ができるように自分の土台(知識・話術)を作っていきたいと思います」
CloudNativeだけどブース運営に関しては、単純にインフラの専門家のポジションではなくあらゆるロールの来場者を考慮して対応ができるように体制を整える必要があることを感じてます。
成果と改善点
今回の最大の成果として次のような会話があって、
-
古代さん:「インフラチームとカイゼンチーム、ほぼ全員がグループの運営側としてイベントに参加しました。なかなかない経験です。みんなで同じイベントの経験を共有できたのはありがたいです。イベント運営しながら『こうだよね、ああだよね』という学びを共有できました」
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白井さん:「チームのみんなでイベントを開催することによって、よりチームの一体感が増しました。また、他社の人たちが実践している内容を伺うことによって新たな気づき得ることもできました。」
個人でイベントを参加することもいいことだと思いますが、チームとして参加してたらお互いが同じマインドセットを成立することができます。チームの成長と意識の向上、一緒にやることで連続性を持った技術発信の道を改めて整備ができたと思います。
一方で、改善点もありました。今回は参加者として興味あるセッションを聞いて知見を広める目的もありましたので、事前にグループ内でシフトを決めていました。
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松尾さん:「シフト表を作成していましたが、自分の番になりブースに向かったらみんなブースにいたので『あれ?』と思いました」
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古代さん:「次回ブースをやるときは3人はブース内で、他の人はセッション聴講してインプットできるようにした方がいいかと。セッションでブログのネタを探すなど、効率化を考える必要があります」
課題として認識したことはシフトの問題より、時間の効率化になります。CIGはブース運営者・参加者の二つの立場でイベントに参加したため、ブース運営とセッションを聞いて自らの収穫を得る間のバランス調整が難しかったと思います。
それでも、ちゃんと振り返りをしながら個々で考えていた課題を明確にすることができました。質問ボードでKINTOテクノロジーズを知っていたという答えが多かったことは、長く広報活動を実施した成果であり、イベントの運営は単発で終わることではない証でもあります。クラウドインフラGもKINTOテクノロジーズの一員として技術発信を継続していきますので、今回の参加は今後の活動のエッセンスになりました。
CloudNativeの本質

最後に、みなさんに記載いただいた質問ボードの結果を深掘りしました
- 白井さん:「『良いインフラとは?』という質問に対して、『愛せること』と回答した人が多かったです。深掘りしてみると、自社サービスを愛せるまで理解することが、CloudNativeという言葉の本質の理解を深めることの1つなのかもしれません」
古代さんからは、登壇でも発表したメッセージを改めて強調しました。
- 古代さん:「CloudNativeを最初から完璧にできている組織はありません。色々なグラデーションがあります。技術だけでなく、文化や組織も含めて作っていく必要があります。スポンサーブースで色々な企業と話しながら、改めて実感しました」
参加者インタビュー
Platform G、島村さん
島村さんは、同じグループの李さんの登壇を見るため、そして自身もCFPを出していたため、どちらにしろ参加する予定でした。そして、最近チームでKubernetesやEKSを触り始めたこともあり、技術的な関心も高まっています。
印象に残ったセッション:任天堂の事例
島村さんが最も印象に残ったのは、任天堂のセッションでした。
- 島村さん:「オンプレ環境の事例ですが、この文化を取り込みたいと思いました。真面目に毎日1回フルでリグレッションテストを回していて、バグ報告以外の目的でもテスト結果を使っていることに驚きました。」
特に興味深かったのは、テスト結果の多目的活用です。
- 島村さん:「UI的な観点で、デザイナーが表面上のデザイン単体ではなく『ビルド結果の画像から考えると、こうした方が(周りなどの雰囲気と)マッチする』という判断材料となるそうです。過去からのイベントの流れがあり、その流れで自然かどうかも分かる。声優のアテレコにも使用しているそうです。自動テストをバグを見つけるだけのものではなく、他の用途にも使う。テストの結果を使ってプロアクティブに多方面で改善点を見つけて改善していく文化です。」
そして、任天堂の事例と弊社との違いについても考察してまして、
- 島村さん:「KINTOにはこの文化がまだ足りないと思いました。できるようにして、気づいて、直していくという感覚が遠いです。重くなったウェブサイトは改善していく側面でも必要ですし、KINTOのサービスをより良く提供する面もあると感じました」
技術的な収穫
島村さんは、いくつかの技術的な収穫を話してくれまして、
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Alloyのログ二重転送の原因の気づき:最近ブルーグリーンデプロイをした時、Alloyのログが二重転送されていた原因だと思われる事象に似ていると気付いて、調査のインプットとしました。
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Dockerビルドのセキュリティ:ビルドしたコンテナイメージがマルウェアに汚染されていないか、署名や検証のフレームワークがあることを知りました。昨今の情勢もありましたので、セキュリティチームに情報を共有しました。
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RCAの優位点の再確認:インシデント管理のSaaSは、インシデント管理のやり方だけをAI化していますが、弊社ではRCAで一気通貫で作っています。やはり全部統一して一気通貫しないといけないと、RCAの優位点・良かった点を見直せました。
逆に、いくつかのセッションに対して疑問を感じたことも話してくれました。
- CloudNative技術が課題を解決する手段ではなく、CloudNative技術を使うための目的になっていることもあった
- 知識として得られるような内容ではなく、それぞれのケースに基づいた話を聞きたかった
次回への展望
島村さんは、次回への改善点と展望を語りまして、
- 島村さん:「早めにイベントのセッション登録をして、自分が聞きたいセッションを確実に聞けるようにしたいです。また、参加して得た情報を個人の中に留めず、他のメンバーが見れるようにする。こういうことがある、事例があると知ってもらわないと、参加した時間がもったいない。知識は、広がらないとあまり意味がないと考えています。」
登壇についても意欲を見せてくれました。
- 島村さん:「CFPを2回落ちているので、次は是非登壇したいです。ただ、ネタが問題です。RCAについては既に喋り、文化論もPlatform Engineering Meetupで喋っています。新しいネタを見つける必要があります」
まとめ

我々はCloudNative Days 2025 Winterへの参加を通じて、多くの学びと気づきを得ることができました。
技術と文化の両輪
登壇者の古代さんと李さんは、それぞれ異なるアプローチでCloudNativeを語りました。古代さんは組織文化の観点から、李さんは技術的な実践の観点からです。しかし、両者に共通していたのは、CloudNativeは手段であり、目的ではないというメッセージです。
ブース運営を通じて、私たちは「CloudNativeを最初から完璧にできている組織はない」ことを再確認しました。技術だけでなく、文化や組織も含めて作っていく必要があります。
参加者の島村さんが任天堂の事例から学んだように、CloudNativeは技術ではなく文化です。プロアクティブに改善点を見つけて改善していく文化、テスト結果を多目的に活用する発想、そして何より、自社サービスを「愛せる」まで理解すること。これらがCloudNativeの本質なのかもしれません。
チームの一体感
今回のイベントで最も大きな成果の一つは、インフラチームと改善チーム、ほぼ全員がグループの運営側としてイベントに参加できたことです。みんなで同じイベントの経験を共有し、学びを共有できたことは、チームの一体感を大きく高めました。他のグループの方も助けてくださり、とても良い時間を過ごす事ができました。
継続的なアウトプットの重要性
登壇者の両名が共通して感じたのは、日々のアウトプットの重要性でした。40分の発表を準備する大変さを経験し、普段からテックブログや勉強会での発表を通じて、継続的にアウトプットする習慣の必要性を実感しました。
また、島村さんが指摘したように、イベントで得た情報を個人の中に留めず、チーム・組織で共有することも重要です。知見を広げることで、組織全体の成長につながると信じてます。
次回への展望
2026年には、CloudNative会議(Platform Engineering Meetup、SRE会議、CloudNativeDaysの合同イベント)が開催されます。また、JAWS Daysへの出展も予定しています。
CloudNativeに悩む皆さんへ、古代さんからのメッセージをお伝えします。
「技術に振り回されないでください。ビジネスの成功、ビジネスの先にあるミッションの達成のために、一緒に悩みながら文化づくり、組織づくりを頑張りましょう。CloudNativeは手段であり、目的ではありません」
そして、李さんからのアドバイスも忘れないでください。
「まずは応募してみることが重要です。恐れずに、まずCFPを出してみる。採択されてから、未来の自分が何とかしてくれます」
今回のイベント参加を通じて得た学びと気づきを、今後の組織づくり、文化づくり、そして技術的な挑戦に活かしていきたいと思います。コミュニティの皆さんとの継続的な交流を通じて、共に成長していけることを楽しみにしています。
Cloud Infrastructure Gでは記事を作成する時点で、インフラチームとカイゼンチーム、ソリューションチームの三つのチームが存在します。 ↩︎
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