Global KINTO ID Platform のパスキー
KINTOサービスの認証基盤について、開発を担当しているPham Hoangです。本記事では、Global KINTO ID Platform (GKIDP) に実装されたパスキーについてお話します。OpenID Summit Tokyo 2024に参加して、OIDC と組み合わされたパスキーについて伺ってから、パスキーが私たちのIDプラットフォームにどれだけ多くの利益をもたらすかついて、お伝えしたいと思いました。
I. GKIDP でのパスキーの自動入力
パスキーは、パスワードの代替となるもので、ユーザーの端末からより速く、より簡単に、より安全に、ウェブサイトやアプリへサインインすることができます。以下は、ユーザーがワンクリックでパスキー認証を行う方法です。
図1.KINTO ItalyのIDプラットフォームへパスキーでログインする様子
パスキーの素晴らしいところはシームレスなUXで、パスワードの自動入力機能と同じです。ユーザーはパスキーとパスワードの複雑な違いを理解する必要はありません。このシステムは、ユーザーが覚えておく必要のあるパスワードなどを使わずに、裏側で非対称暗号化を使用します。FaceID認証だけで、すべての設定が完了します。
パスキーは、2022年後半からAndroidとiOSによってサポートされている、最も安全で最先端の認証システムです。まだ開発中で、現在もアップグレードされ続けています。GKIDP (Global KINTO ID Platform)に最新技術で便利な状態を保つため、2023年7月にパスキーの自動入力機能を導入しました。この導入は、メルカリ、ヤフージャパン、GitHubやMoneyForwardでそれぞれ導入したすぐあとのことです。
次のパートでは、パスキーをFederated Login(連携ログイン)に活用し、GKIDPユーザーが「グローバルログイン」機能をより快適に利用できるようにする方法について説明します。
II. Federated Identityにおけるパスキー
Global KINTO ID Platform (GKIDP) は、2024年3月時点でイタリア、ブラジル、タイ、カタールと南米各国に導入されているKINTOサービスの認証システムです。GDPRおよびその他のデータ保護規制に遵守するため、GKIDPは各国ごとに複数のIDプロバイダー(IDP)に分けられており、「コーディネーター」を通してユーザーを一つのグローバルIDとして識別します。グローバルID を活用することで、ユーザーは世界中のKINTOサービスを共通のIDで利用することができます。
図2.GKIDP とパスキー対応のIDP
通常、パスキーでログイン(図1を参照)をすると、ユーザーはローカルIDPを使用して認証連携を行い、自国内のKINTOサービスを利用できます。しかし、私たちの場合、RP(Relying Party)のアプリケーションまたはブラジルのKINTO ONE Personalやその他のKINTOサービスのような「サテライトサービス」でパスキー機能が使えないといけないため、各国のIDP (例:ブラジルIDP)にパスキーを実装しました。
この利点について、私たちが参加したOpenID Summit Tokyo 2024でも取り上げられており、パスキーをOpenID Connectプロトコルと組み合わせて実装することが推奨されていると知れて良かったです。
さらにGKIDPには、KINTOサービスがある他国にユーザーが旅行や引越しをした際、自国サービスと同様に国外サービスでもKINTOまたは関連サービスにログインできる独自の機能があります。これを私たちは「グローバルログイン」機能と呼んでいます。利用には複数のステップが必要ですが、1つのユーザー名とパスワードで管理できるので、サービスごとにユーザー名とパスワードを覚えなくても良くなります。さらにパスキー実装によって、ログイン情報を覚えたり入力したりする必要なく、簡単な手順でグローバルユーザーのログインプロセスの無駄をなくします。例えば、イタリアのKINTO GOユーザー(図1のユーザー)が、グローバルログインを利用してタイのKINTO SHAREサービスにアクセスする方法を見てみましょう。わずか数回のクリックでログイン時間を平均2~3分から約30秒に短縮することができています(図3)。ローカルIDPがパスキーをサポートしているかどうかに関係なく、1つのパスキーを使用してすべてのKINTOサービスにアクセスできます。
図3. パスキーによるグローバルログイン
パスキーは、ローカルログインとグローバルログインだけでなく、再認証などを含むすべての認証画面にも活用されています。一度パスキーが登録されると、ユーザーは何かを確認するためのパスワードをもはやほとんど必要としません。
III. パスキーとその需要
図4. パスキー登録ユーザー
イタリアのIDPでは、875名のユーザーパスキーを利用して登録しており、パスキーリリース後の新規ユーザーの52.2%を占めています。パスキーの自動入力をサポートするOSにアップデートするユーザーが増えるにつれてにつれて、この割合も増えることを期待しています。(iOS 16.0以上、Android 9以上) デスクトップユーザーが多くを占めるKINTO Brazilでは、Microsoft PCでパスキーが広く利用されていないにも関わらず、リリース後の新規登録ユーザー1176人のうち20%以上がパスキーを使用しています。
IV. さいごに
KINTOのエンジニアとして、パスワードレスの未来のために新しい技術を導入し、ユーザーのデータ保護を強化できることをとても嬉しく思います。パスキーを活用することで、ユーザーは最高レベルのセキュリティで簡単にログインできるようになりました。これからも、世界中のKINTOサービスを新しく我々のIDPハブ:GKIDPに繋ぐことができるのを楽しみにしています。
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